経団連くりっぷ No.49 (1997年 2月13日)

中東・アフリカ地域委員会(委員長代行 小長啓一氏)/1月30日

中近東地域駐在大使との懇談会を開催


経団連では従来より、わが国の中近東地域駐在大使との懇談会を開催してきたが、本年も、22カ国の駐在大使および大使代理、外務省の登中近東アフリカ局長ほかを招き会合を開催した。当日は、外務省側のプレゼンテーションの後、イラン情勢や中東におけるビジネスについて、活発な意見交換を行なった。
以下は外務省側の発言要旨である。


小長委員長代行

登局長

 今回の中東和平合意は、ヘブロンからの最終的な撤兵を残すのみであるが、イスラエルが、今回合意以上の譲歩を行なうことは難しい。やはり米国の積極的なイニシアチブで、シリアほか関係国との交渉を実現させる必要がある。日本としても官民一体となって、この地域に対する経済協力、貿易、投資を促進していきたい。
 湾岸情勢は、全般的に安定しているが、引き続き、米軍のプレゼンスは重要である。

渡邉駐アルジェリア大使

 アルジェリアは、政治的には民主化への動きがある一方で、テロや治安の問題を抱え、また経済的には、国際機関も賞賛する経済状況にある中で、失業などミクロ面での対策が遅れている。石油・ガス開発地域を含むアルジェを除く地域の治安は良い。過激派原理主義者の勢力は衰えつつある。

小原駐イラン大使

 本年夏、大統領選挙が行なわれる。ラフサンジャニ大統領は立候補できないが、実質的にイランの指導的地位を維持しよう。
 石油価格の上昇は年間40億ドルもの増収をもたらし、同国の債務状況は急速に改善しつつある。ただし対米関係の改善は期待薄であり、わが国としても第2次円借款の供与や貿易保険の弾力的な運用は難しい。

丹波駐サウジアラビア大使

 全体的に状況は安定しており、石油価格の上昇で、債務も116億ドル減少した。
 ヤマニ工業電力大臣はじめサウジの指導者は、日本からの投資が増えないことに失望している。対サ投資拡大のため、経済界の早急な対応を期待したい。

片倉駐エジプト大使

 外貨準備が180億米ドルに達するなど、エジプトの経済状況は次第に改善しつつある。他方、20%にのぼる失業者の対策が大きな課題となっている。なお本年、スエズ運河架橋プロジェクトに対する円借款を供与する予定である。


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