経団連くりっぷ No.49 (1997年 2月13日)

掲示板

重油流出事故被害に対する支援の経緯と今後


 福井県三国町から重油漂着の模様が伝えられてきたのは、1月10日。講演で当地を訪ねていた早瀬昇さん(大阪ボランティア協会)からであった。

 経団連職員は、福井県三国町に1月12日、石川県輪島市、珠洲(すず)市には同18、19日の両日に足を運んだ。災害対策本部や社会福祉協議会関係者と、企業から送られてくる物資の保管場所やボランティアの受け入れ体制などについて打ち合わせたうえ、義援金については使い道の分かるものにしてほしいという経団連会員各社の要望を伝えた。三国町では社会福祉協議会の口座をボランティア活動のための義援金口座とし、珠洲市では、ボランティア活動支援と、鳥の餌場などの自然環境復元のための2つの特別義援金口座を設けた。

 前後して、経団連会員各社の社会貢献担当者や、日本野鳥の会をはじめとする市民団体からの照会が相次いだ。「お役に立てることはないか」と、阪神・淡路大震災の時に物資支援の窓口にいた企業人数名からもご連絡をいただいた。現在、経団連では、大阪ボランティア協会、日本NPOセンター、経団連1%クラブの連名で、重油流出事故に関する支援情報を提供している。

 残念ながら今回の事故は広範な地域が被害を受け、今のところその対処は人手に頼るしかない。その中で、支援体制窓口の柱になっているのは被害を受けた各市町村である。

 今回、各単位自治体はよくやっているという印象を受けている。少なくともボランティアや物資を受け入れる体制を整え、企業からの支援申し出にもかなり的確に応対していただいている。

 なかには、ある団体が地元の民宿や住民とトラブルを起こし、役場職員が調整して回るケースもあったようだ。繰り返すまでもないが、ボランティアをはじめとするさまざまな支援が、結局一番苦労をしている地元の方々の迷惑になるようなことだけは避けるべきであろう。

 企業、市民団体、行政がそれぞれの強みをいかして課題解決に当たるこのスタイルは、やっと歩みを始めたばかりであり、時に応じてその形は変わる。

 今回は,各行政区域を核にした長期的な地域回復の試みになるといわれているが、自然保護のグループによる広範な協力体制、各地の市民ネットワークも生まれていて、支援状況は今後とも変化する模様だ。

 経団連では、引き続き関係者からの情報収集・提供につとめ、会員各社にご協力を呼びかけることにしたい。


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