経団連くりっぷ No.50 (1997年 2月27日)

1%(ワンパーセント)クラブシンポジウム/2月7日

いま、求められているものは何か
─企業と市民が進める地域参加


標記シンポジウムは、企業の社会貢献活動と1%クラブ(会長:若原泰之氏)に対する理解を深めていただくために各地で開催している。今回は福岡で開催し、地元の企業関係者を中心に200名が参加した。これは東京、大阪、名古屋に続く4回目の開催となる。シンポジウムは若原会長の挨拶ののち、大阪ボランティア協会事務局長の早瀬昇氏がコーディネーターを務めたパネルディスカッションと、元バレーボール選手の三屋裕子氏による特別講演「市民と企業が果たす地域での役割〜スポーツを通じて」の2部構成で行なわれた。詳細は『1%クラブニュース』で紹介するが、以下に、パネルディスカッションの概要を紹介する。

  1. 高橋 達直氏
    (ライオン社長:1%クラブ世話人)
  2.  企業の社会貢献活動を地域との関係で考える場合、ボランティア活動などによる社員参加が今後一層必要な要素となる。企業は資金的な協力はもちろん、社員による社会参加をひろげていくべきである。

  3. 川原 正孝氏
    (ふくや社長)
  4.  社員は会社の一員であるとともに、当然地域の一員である。例えば、会社を退職した後、地域とのつながりがあるかないかでは過ごし方が随分変わってくる。
     当社では、PTA活動や地域で役員を行なっている社員に対して「地域活動手当」を支給するなど、社員の地域での活動を制度的に支援している。

  5. 中村 哲氏
    (NGO「ペシャワール会」現地代表:医師)
  6.  当会は、現在主にアフガニスタンで医療活動を行なっているNGOである。事業費は約1億円で、とくに事務局、専従職員は置かず、事業費のほとんどは現地での医療活動に使っている。当会の会員4千名のうち半分以上が九州在住者である。東京でなくともNGO活動を理解して支えていくだけの基盤はある。

  7. 岡本 美津代氏
    (アートギャラリーおかもと:「さをりひろば江津」主催)
  8.  自宅の敷地内にある古い蔵を改造し、地元の織物「さをり織り」を中心にした自由な活動場所を提供するなかで、そこが地域のハンディキャップのある方々が集まり、活動を行なうグループの連絡拠点になった。
     民間の自主的な市民活動は、立ち上げのときが一番苦しい。企業には、同じ民間として障害者の作業所などの立ち上げ支援を行なってもらいたい。

  9. 若原 泰之1%クラブ会長
  10.  企業が地域活動を含めた社会貢献活動を進める場合、市民活動団体を中心とした民間非営利組織(NPO)と連携して活動するのが望ましい。NPOをめぐる日本の社会的基盤はまだ遅れているが、今後NPOとの連携は不可欠になってくると思われる。


くりっぷ No.50 目次日本語のホームページ