経団連くりっぷ No.51 (1997年 3月13日)

通信・放送政策部会(部会長 三木利夫氏)/2月26日

電波行政の課題と対応をめぐり、田中郵政省電波部長と懇談


通信・放送政策部会では、田中郵政省電気通信局電波部長より、電波行政の課題と今後の取り組みについて説明を聞くとともに種々懇談した。田中部長からは、「規制緩和の観点から無線局に関する包括免許制度の導入や検査の民間への開放を行なうとともに、次世代移動体通信方式の国際標準化に積極的に取り組みたい」との発言があった。

  1. 田中電波部長発言要旨
    1. 規制緩和の推進
      1. 現行の電波法では、携帯電話・PHS端末毎に免許申請を行なって免許手数料を納付しなければならないが、包括免許制度を導入し、手続きの簡素化、コストの大幅な縮減(年間約500億円)を図る。
      2. 国が実施している無線局検査については、検査の効率化・迅速化、コスト削減の観点から、郵政大臣の認定した点検事業者も一部の検査をできるようにする。

    2. 周波数割当ての方式について
    3. 周波数割当に関するオークション方式については、透明性が高く、周波数有効利用の促進や情報通信市場の活性化などが期待できる一方、利用料の高騰や特定の事業者による独占、都市と地方でのサービス格差が懸念されるため、その導入には慎重な検討が必要である。現在はオークションの対象が想定されないため、当面、周波数割当に関する決定手続や審査基準等の一層の明確化などに努める。

    4. 次世代移動通信方式の国際標準化に向けた取り組み
    5. ITU(国際電気通信連合)では、1999年末までに次世代移動通信方式(IMT-2000)の国際標準を決定する方針であり、日本も、郵政省、電波産業会を中心に、移動体通信事業者や国内・国際機器メーカーの参画を得、国際標準方式の提案に向けた取り組みをしている。今後、独自の方式を主張する欧州との調整が鍵となろう。

  2. 懇談要旨
  3. 経団連側:
    インターネットをはじめとするマルチメディア化に対応し、次世代移動通信方式の開発には、前倒しで取り組む必要がある。
    田中部長:
    国内の電波事情は逼迫しており、IMT-2000の開発は急がねばならない。

    経団連側:
    ITUではどのような点が議論になっているのか。
    田中部長:
    国際的な仲間作りとコスト、周波数利用効率などの技術的問題である。現在、30カ国以上が日本のPHS方式に関心を寄せており、技術指導など適切なフォローアップに努めている。日本としては、外国企業も交えたオープンな形で、国際標準を狙える方式を極力急いで開発していきたい。また、欧州方式との調整にも柔軟に対応していく。


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