経団連くりっぷ No.51 (1997年 3月13日)

防衛生産委員会(座長 西岡防衛生産委員会総合部会長)/2月20日

平成9年度防衛予算案説明会を開催


昨年暮の平成9年度政府予算案の策定に当たっては、防衛費が一つの焦点となり、結果的には概算要求をさらに下回る極めて厳しい内容となった。このような厳しい予算状況にあって、中期防を含む平成9年度の装備調達計画に対する防衛庁の方針は、産業界にとっても重要な関心事である。防衛生産委員会では、去る2月20日、防衛庁より鴇田装備局長を招き、平成9年度防衛予算案について説明を聴取した。

  1. 平成9年度防衛関係費
    1. 9年度の防衛予算案は総額4兆9,414億円、対前年度伸び率 1.98%になっている。防衛庁の場合約8割が義務的経費であり、これらを積み上げて当初、4.5%増の要求案を策定したが、7月末の与党3党の防衛調整会議での議論の末、概算要求段階で 2.88%に抑えられた。2.88%でも平成8年度の 2.58%増を上回っていたが、最終的には 1.98%に押さえ込まれた。
      ただし、一般歳出の伸び率と比較すると平成8年度、9年度は防衛関係費の方がいずれも高い伸び率である。また、これまではODA予算の伸びの方が防衛予算よりも大きかったが、9年度ではODAが 2.1%となり、SACO関連予算の 61億円を防衛費に加えると、4兆9,475億円で、奇しくも 2.1%となり、ODAと肩をならべたという見方もできる。
      今回特に問題となった歳出化経費の繰延べについては、概算要求段階で約390億円の繰延べを関連企業にお願いせざるを得なくなったが、最終的にこれが607億円になってしまった。関係企業の理解を得たい。

    2. 平成10年度予算の議論がすでに始まっている。財政構造改革会議(議長:橋本総理大臣)では、現在総論的な議論がされており、6月を目途に、個別のセクターについての削減目標までも議論し、基準なり指針を固める日程になっている。これをもとに10年度予算の概算要求が組まれる訳で、われわれとしては、この3月〜5月の間に相当きちんとした対応をしておく必要がある。
      沖縄のSACO関連経費については、普天間基地の移転だけでも、海上施設に4,000〜5,000億円の予算が必要となってくる。9年度予算では 61億円が別枠でとられているが、これから本格的な支出行為が必要となる10年度以降についても、SACO別枠は防衛庁として予算上絶対不可欠である。
      繰延べ措置については、あくまで9年度限りであると、庁内はもとより大臣、関連企業にも理解いただき、財政当局ともそういった話をしている。これも財政状況如何では、必ずしも安全圏とは言えないが、10年度に引きずらないようにしたい。
      以上3点が10年度予算編成上の大きなポイントになる。われわれはもちろん、真剣に取り組む所存であるが、経済界からもいろいろな場をつかって、働きかけをしてもらいたい。

  2. 即応予備自衛官制度
  3. 即応予備自衛官制度は、一昨年末の防衛大綱で方向性が示されており、自衛隊のコンパクト化、効率化、合理化というフレーズを受けて実行していく。陸上自衛隊の定数を18万人から16万人に減らし、そのうち1万5,000人を即応予備自衛官とする。
    中期防では5,000人まで採用することになっているが、来年度予算では1,373人を設置をする。
    このような形で自衛隊の人的側面でスリム化が図られることは、装備行政の側面からも重要である。

  4. 取得改革
  5. 防衛庁では、取得改革を実行するため、取得委員会を昨年5月に設置し、来年6月を目途に、2年間で仕上げようと検討を進めている。自衛隊の長い歴史の中で、いろいろな問題が出てきており、これをきれいにする必要がある。当初、現場では各種の軋轢があるのではないかと心配していたが、内部意欲も高く、今のところ推進力は失われていない。
    いずれにせよ取得改革は、これからが正念場であり、各企業、団体に是非とも協力をお願いしたい。


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