経団連くりっぷ No.51 (1997年 3月13日)

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インドの経済改革と
民間経済団体/インド工業連盟(CII)の果たす大きな役割


 いまインドは経済自由化の改革を進めている。91年7月にラオ政権が打ち出した自由化の基本方針は、96年6月に発足したゴウダ政権にも引き継がれた。海外からの直接投資が急増するなか、インド経済は活況を呈してきている。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品や自動車を中心に耐久消費財ブームが本格化している。比較的高い購買力を持つ中産階級は2億人に達するとも言われ、国内市場の大きさはインド経済の魅力の一つである。

 2月9日〜15日、インド工業連盟(CII)の主催で「第12回インド・エンジニアリング・トレード・フェア」がデリーで開催され、CIIのダッタ会長の招待を受けて、今回、豊田会長がインドを訪問した。CIIは設立100年の歴史を誇るインドの代表的な経済団体であり、全国に約3,200社の会員を持つ。経団連が95年1月に「投資環境調査ミッション」(団長:歌田勝弘氏)をインドに派遣したとき、CIIが受け入れに当たった。その後、経団連では、95年9月にムカルジー外務大臣の訪日に合わせて、CIIミッション・メンバーとともに「インドの投資環境に関する懇談会」を経団連会館で開催するなど、CIIとの関係強化に努めている。

 CII関係者の話によれば、CIIはインド経済界の立場から、経済の自由化をインド政府に強く働き掛け、中央政府を動かし、改革の推進力になってきた。自由化の進展とともにインド経済が活性化してきたことを考えると、CIIの貢献は大きい。CIIはニューデリーに本部を持つほか、国内に21カ所、海外8カ国に9カ所の事務所を構えている。日本にも昨年、大阪事務所が開設された。

 ニューデリーの本部には約200名の専門職員がおり、CII全体では約400名の職員が内外の事業を支えている。会員企業からの年会費と個別のサービス料によって運営されているが、その全体収入に占める比率は1対9とのことである。マクロ経済分析や政策提言のほか、トレード・フェアの開催、さらには品質管理、環境保全、消費者保護などの分野で会員企業に対する経営コンサルタント的な業務や啓蒙活動、経営セミナーの開催など、ビジネスに関係の深い活動を広く手掛けている。特に品質管理の考え方は、10年前に日本から学んだとのことである。現在15名の専門スタッフが活躍しており、品質管理のコンサルタント収入はCIIの全体収入の約1割を占め、いわば組織の稼ぎ頭となっている。国によって経済団体の役割はさまざまであるが、参考になるものも多い。


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