経団連くりっぷ No.52 (1997年 3月27日)

税制委員会(委員長 久米 豊氏)/3月11日

今後の税制のあり方について加藤税制調査会長と懇談


政府の税制調査会では、今年1月に「これからの税制を考える−経済社会の構造変化に臨んで−」と題する報告書を公表し、広く国民に対して今後の税制のあり方について問題提起をした。そこで税制委員会では、加藤寛税制調査会長を招き、報告書の説明を受けるとともに、今後の税制のあり方について意見交換を行なった。

  1. 加藤会長発言要旨
    1. 今回、税制調査会でまとめた報告書「これからの税制を考える」で主張したかったのは、
      1. 税制の問題を考える上では、まず財政構造の改革が不可欠である、
      2. 今の制度を残したまま、増税しようとすれば、納税者である国民が政府を信頼しなくなる
      という点である。

    2. 「大きな政府」か「小さな政府」かという選択ではなく、国民の負担を増やさず行政サービスを効率化して、「適正な規模の政府」を作ることが重要である。

    3. 法人税は、国際的整合性の観点から課税ベースの見直しを行なう必要があり、まず課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げ、その上で実質減税へ進むべきと考えている。本来は歳出削減によって減税財源を生み出すのが最もよい方法であるが、行政改革が進まない現状では難しい。

    4. 土地税制では、地価税より固定資産税の方に問題が多い。平成9年度改正で大幅な見直しがなされたが、実際には負担増となる所もあり、抜本的な見直しが必要であると考えている。

    5. 環境税を単に財源確保のために導入することは認められない。もっと慎重に議論すべきである。

    6. まもなく、新しい税制調査会が始まるが、今回の報告書で問題提起したことについて、2000年までの3年間で答えを出したいと考えている。

  2. 懇 談
  3. 経団連側:
    法人税の実質減税についてどう考えているのか伺いたい。
    加藤会長:
    第1段階で法人税の課税ベースの見直しを行ない、その範囲内で税率を引き下げ、第2段階で実質減税を行なうべきである。

    経団連側:
    独禁法改正により純粋持株会社の解禁が実現するが、連結納税制度や資産譲渡課税の見直しを行なわなければ、解禁が活かされない。
    加藤会長:
    連結納税制度の導入については基本的に賛成であるが、NTTだけでなく、NTT再編に伴う税制上の特例措置が終了するまでの間に、すべての企業を対象にして一斉に導入すべきと考えている。


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