日本ロシア経済委員会極東部会/3月3〜4日
1997年3月4日
於:ユジノサハリンスク
日本側からは、日本ロシア経済委員会極東部会部会長代行の吉田進 日商岩井専務取締役を団長に、80名以上の企業、組織の代表が参加した。河毛二郎 日本ロシア経済委員会委員長が名誉団長として、また日本政府から森敏光 在ハバロフスク総領事ほか外務省および通産省の関係者がオブザーバーとして参加した。
会議に対し、池田・日本国外務大臣およびカラーシン・ロシア連邦外務省次官より祝辞が寄せられた。
会議では、「ロシア極東と日本およびその他のアジア太平洋諸国との経済交流の現状と発展の見通し」についてロシア側から、「極東ザバイカル長期発展プログラムに関する日本側の見解」と題し日本側から基調報告がなされた。また、全体会議では、「極東ザバイカル長期発展プログラムの実施に係わる諸問題」、「サハリン石油ガス開発プロジェクトの経済効果とビジネスチャンス」、「極東地域における金融・銀行システムの諸問題」に関するロシア側の報告がなされ、これに基づき活発な意見交換が行なわれた。
会議参加者は、ロシア極東と日本との協力の可能性に注目し、日本ロシア経済委員会極東部会とロシア極東日本経済協力委員会の協力を一層密接にし、情報交換をさらに促進することで意見の一致をみた。
双方は、ロシア経済の新たな段階への発展を可能にする極東ザバイカル長期発展プログラムの実施メカニズムに関連し、日本側の協力の方途を双方関係者が検討する場を設けることで合意した。ロシア側は、同じくプログラムの実施に関連し、外国の投資家や有識者などの意見や助言を得る場の設置が有益であり、また極東への投資の促進のため、諸問題の解決、相談および支援を行なう多機能のセンターの設置が必要であるとの日本側の指摘に留意した。
会議は、貿易経済に関する政府間委員会極東分科会が活発な活動を継続するよう希望を表明した。
会議参加者は、サハリン大陸棚石油ガス開発プロジェクトの円滑な実施を妨げている諸問題の解決が、極東地域の経済発展および国家間レベルの経済関係の発展にとり大きな刺激になることを確認した。
会議では、6つの分科会(エネルギー、運輸・通信、林業、機械工業、鉱業、水産)が開催され、各分野の状況および投資プロジェクト案件についてロシア側の報告が行なわれ、プロジェクト案件を巡って建設的な意見交換が行なわれた。日本側はこれら案件を検討し、その見解を事務局を通じてロシア側に伝える。
会議は、率直かつ実務的な雰囲気の下で行なわれた。次回会議は、双方都合の良い時期に日本で開催する。
このプログラムは3つの段階に分けられる。第1段階(1996年〜1997年)では経済危機からの脱却、社会状況の改善のための緊急措置を実施する。第2段階(1998年〜2000年)では、経済および社会の安定に伴い、さらなる経済成長への条件を整える。第3段階(2001年〜2005年)ではロシア経済が活況を呈することを想定し、構造改革と安定成長のための課題に取り組む。
極東ザバイカル長期発展プログラムの実施には、経済省、労働省、対外経済関係省、産業政策国家委員会をはじめとする12の省庁が関与している。また、1996年4月15日にはロシア政府決定第480号によって公的に承認され、同年4月23日にはロシア大統領令第601号によって大統領プログラムのステータスを与えられた。これによって本プログラムは優先的な資金割り当てを受けられることとなり、ロシア政府の力の入れようが伺える。
確かに現時点でも未だ資金確保や運営組織などいくつかの重要な問題を抱えているが、このプログラムの実施によって極東地域が着実な経済成長を遂げれば、アジア太平洋地域にも大きな経済的インパクトをもたらすものと期待されている。