経団連くりっぷ No.53 (1997年 4月10日)

資源・エネルギー対策委員会(委員長 篠 昭彦氏)/3月24日

最近の原子力問題について、今村科学技術庁官房審議官と懇談


資源・エネルギー対策委員会では、今村科学技術庁官房審議官より、動燃の東海再処理工場の火災・爆発事故の状況と本年2月に閣議了解された「核燃料サイクルの推進」のポイント等について説明を聞くとともに種々懇談した。以下が、その概要である。

  1. 今村官房審議官説明要旨
    1. 動燃東海再処理工場の事故
    2. 現在、室内を負圧に維持するための換気装置の復旧に最優先で取り組んでいる。原因究明については、動燃および原子力委員会が現場の調査を行なっている。尚、できるだけわかり易い情報を提供できるよう、原子力の専門家を配置した相談窓口を設置した。
      また、改めて動燃の危機管理体制の問題が露呈したと考えており、第三者による評価も含めて、体制の抜本的な改革を行なう。

    3. 高レベル放射性廃棄物ガラス固化体
    4. 3月18日に第2回目の返還受け入れを無事終了した。極力情報公開に意を用いたことが良かったと考えている。

    5. 核燃料サイクルの具体的施策
    6. 2月に、核燃料サイクルの重要性の再認識と再処理事業の着実な推進が閣議了解された。具体的施策は以下の4点。
      1. プルサーマル計画の早急な実施
      2. 長期的な使用済み燃料の貯蔵量増大を踏まえ、発電所以外での貯蔵を検討
      3. 早急に最終処分の全体像を明確にする
      4. 高速増殖炉懇談会の設置

    7. 国際熱核融合実験炉(ITER)について
    8. 現在、ITERの詳細設計書を各極で評価中。また、国内ではITERの誘致問題について幅広い審議をするため、原子力委員会にITER計画懇談会を設置した。

  2. 懇談要旨
  3. 経団連側:
    六ヶ所村の再処理工場ではアスファルトは使わないし、軽水炉で使用しているアスファルトは材料が動燃東海再処理施設とは異なる。混同されることがないよう、国民に十分説明していただきたい。
    今村審議官:
    十分認識している。そのためにも原因究明を急いでいる。

    経団連側:
    熱核融合は大きなテーマであり、ぜひ、日米コモンアジェンダに載せるべきである。
    今村審議官:
    外務省と協議したい。

    経団連側:
    ITERの負担は4極に限定せず、韓国等も含めたアジア諸国も取り込むことを考えたらいかがか。
    今村審議官:
    アジア以外にもITERに関心を示している国があるので調査したい。

    経団連側:
    日本のエネルギーが将来どうなるかというPRが足りない。いきなり、原子力の安全性をPRするのではなく、日本はエネルギーがないことをもっとPRすべきだ。
    今村審議官:
    通産省とも連携し、ご指摘にお応えしていきたい。


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