経団連くりっぷ No.53 (1997年 4月10日)

物流部会(部会長 常盤文克氏)/3月19日

今後の物流政策の課題


物流部会では、政府の「総合物流施策大綱」のとりまとめに先立って、運輸省の寺前貨物流通企画課長より「今後の物流政策の課題」について話を聞くとともに、建設省の藤本道路経済調査室長、農林水産省食品流通局の上原企画課長、警察庁の久保都市交通対策課長を交えて懇談した。なお当日は、民間において検討されている「インランドポート構想」について、関係企業より説明を聞いた。

  1. 寺前課長説明要旨
    1. 今後の物流政策は、アジア太平洋地域で最も利便性が高く、魅力的な物流サービスを国際競争にも耐えうるコストで提供できる物流の確立を目標とすべきである。

    2. 幹線輸送においては、できる限りトラックから海運・鉄道に誘導するとともに、道路輸送についても、大型化、コンテナ化に対応する観点から効率化を図る必要がある。また、わが国の交通は、人流面に比べ物流面の国民の意識がうすいことから、物流面の重要性を強調し、双方の調和を図る必要がある。

    3. 物流の効率化のためには、ハード、ソフト両面での整備が必要である。港湾においては、国際競争力を確保する観点から、すでにFAXでの諸手続きを可能とし、現在各港湾の手続書類のフォーマットの共通化等を検討している。鉄道については、誰もが利用できる開かれた鉄道貨物駅を整備する必要があろう。航空貨物についても、成田空港の並行滑走路の完成目標である2000年度に向けて、空港周辺の物流施設の整備を促進していきたい。

    4. 加えて、物流の標準化や商慣行の見直し、情報化の推進等を図る必要がある。特に情報化については、経団連からも要望があったNACCS(通関情報処理システム)と港湾管理者システム、民間システムの連携について検討中である。

    5. 総合物流施策大綱の策定作業における各省庁の連携を契機として、大都市周辺の物流拠点の整備、物流情報システムの整備など、省庁の垣根を越えたプロジェクトの可能性について検討していきたい。

  2. インランドポート構想
  3. インランドポート構想は、保税・通関などの港湾機能の一部を内陸部のコンテナターミナルに移し、港湾からのコンテナ輸送を貨物鉄道が担うことで鉄道へのモーダルシフトを図り、港湾周辺や都市内の道路の混雑等を緩和しようという構想である。さらに、高度物流施設や集客拠点施設を併設すれば、地域の活性化を促す新たな拠点となろう。

    この構想を実現させるためには、省庁の垣根を越えた行政のバックアップと多様な業界の協力が不可欠であり、経団連にも理解と協力をお願いしたい。


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