経団連くりっぷ No.54 (1997年 4月24日)

ドイツ ヘルツォーク大統領との懇談会/4月7日、9日

日独は相互に重要な対話のパートナー


国賓として訪日されたドイツのヘルツォーク大統領を歓迎して、4月7日、経済5団体共催の昼食会を共催した。また、翌々日の9日には、ヘルツォーク大統領、ヘンケル ドイツ産業連盟会長、シュタオダッヒャー大統領府長官、ディークマン駐日大使と豊田会長、齋藤評議員会議長、若井ヨーロッパ地域共同委員長、三好事務総長による朝食懇談会を開催した。
両会合における大統領の発言要旨は以下の通り。

  1. 日独は重要な対話のパートナー
  2. 日独は精神的、文化的、科学的、技術的な拠点として、世界のさまざまな問題の解決に協力する義務がある。われわれは両国に向けられている期待から逃れることは出来ない。例えば、環境問題や、社会政策上の問題といったグローバルな将来の課題が、共通の責任となっている。ドイツ産業連盟と日本の経済団体とのコンタクト、ハイテクおよび環境技術に関する日独協力評議会(経団連が事務局を担当)、日独対話フォーラム(樋口副会長が日本側座長)等は、両国のこうした責任に対する具体的な活動の例の一端に過ぎない。

    しかし今後は、さらなる日独の友好と協力に貢献できる若い世代を育成することが重要である。すなわち、学生、実習生、若い管理職等の交換であり、両国間の協力の多様な方法と形態を通して相手国を知る若い人々が、次の世紀における日独関係の質と永続性を決定するのである。

  3. 新たなビジョン
  4. 世界経済のグローバル化の兆しと共に新しくもたらされる課題(社会政策、経済、福祉等)が、社会の構造転換を迫るようになることを最初に指摘したのは、日本の経済団体であった。日本のみならず、現在ドイツでも規制緩和、税制改革、高齢化等の問題に直面している。規制には、それぞれの背景があり、理由がある。しかし、これが積み重なることによって全体として弊害をもたらしている。これらの問題は世界の歴史上はじめて直面する問題であり、国際的ブレーンストーミングを通じて協力しあえる課題と考える。われわれの今日の改革、新しいビジョンが、子孫の繁栄と安全に関っているのである。

  5. 経済通貨統合
  6. ドイツならびに欧州経済全体の将来を決定するもう一つの要素は経済通貨統合である。ユーロは安定したものにならなければならず、そうでなければ、有権者の支持は得られない。

    通貨政策は、日本および、アジアにおいても重要性が高まっていると聞いている。21世紀の国際通貨体制について、その将来を熟考する機会が訪れたのである。日独の対話は、この問題においても必ず実り多い結果をもたらすと確信している。


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