経団連くりっぷ No.54 (1997年 4月24日)

メチアル・スロバキア首相一行との懇談会(司会 樋口副会長)/3月24日

スロバキア経済の現状と今後の展望


さる3月23日から27日にかけ来日したスロバキアのメチアル首相、コズーリク大蔵大臣、ハムージク外相等閣僚一行を招き、懇談会を開催し、二国間経済協力関係の強化策ならびに中欧諸国の経済復興の現状と展望等に関して意見交換を行なった。
以下はメチアル首相の発言概要である。

  1. スロバキア経済の現状
  2. 93年のチェコとスロバキアの分離独立以降のスロバキアの経済状況は良好であり、マクロ面では、94年以降、旧東欧圏諸国中ではトップである。95年のインフレ率は約9.9%、失業率は約13%と減少傾向にあるとともに、堅調な貨幣政策および財政安定化政策を推進したことが功を奏し、スロバキア経済は回復基調にある。

  3. 対EU関係について
  4. スロバキアはEU準加盟国であり、正式加盟については98年に話し合いが行なわれることとなっている。世界でも有数の単一市場であるEUに加盟することにより、スロバキア経済は一層魅力を増していくだろう。また、EU加盟により、スロバキア経済もより一層西欧諸国型の経済システム・自由経済に変わりつつある。

  5. 日・スロバキア関係
  6. チェコとスロバキアの分離独立以降、チェコには商業部門のノウハウが流れ、スロバキアには生産部門が残った。事実、冷戦下、スロバキアはソ連衛星諸国の軍需製品供給国として化学、ロケット、工作機械等軍需技術の分野で優れた技術力を誇っていた。したがって、現在でも機械生産、電子・情報技術、環境技術等は同地域でもトップクラスにある。軍需産業に従事している優秀な労働力が200万人おり、これを何とか民需に転換していきたい。同分野での日本からの協力を望んでおり、軍事技術で民間部門で使えるようなものも数多くあるので日本企業との合弁プロジェクトを推進していきたい。

  7. 中・東欧、露への輸送ハブ
  8. スロバキアはポーランドからスロべニアにかけての旧東欧諸国地域およびウクライナ、露への市場へのアクセスが可能な地理的条件を備えており、その関係を維持してきている。同地域での新たな市場ダイナミズムが期待でき、今後、スロバキアの同地域におけるハブ能力を増強するために国策として鉄道、高速道路等の輸送インフラの整備・近代化、サービス化を促進している。

以上のような状況を考慮し、ぜひ、対スロバキア投資を検討してもらいたい。


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