リース豪州労使関係大臣との懇談会(座長 立石信雄氏)/4月2日
新しい労使関係制度の特徴の第1は、労働審議会、雇用者団体等の第三者機関の権限を減少させ、労使関係の当事者である雇用者と被雇用者の直接的関係に重点を置くようにしたことである。これによって従来労働審議会が行なっていた労働裁定は、企業または職場の協約によって決定されることになり、雇用者と被雇用者はそれぞれのニーズに最適な生産性、賃金、労働条件について相互の利益となる協約を結ぶことができるようになった。
さらに新労使関係法は、正式個別協約が連邦レベルで初めて雇用者と被雇用者の間で締結されることを認めた。また、労働組合への強制加入を違法と定めるとともに、企業別組合の設立をこれまで以上に容易にした。新法は、公認の労使紛争と非公認の労使紛争の明確な定義づけも行ない、非公認の労使紛争の防止や効率的制裁を可能にした。
今まで労使関係法は、連邦と州のレベルで二重に存在していたが、企業経営方法をより簡素化する目的で、連邦と州の間で労使関係制度を調和させる約束が結ばれた。それに伴い、ビクトリア州政府は、1997年1月1日から労使関係に関する権限を連邦政府に委ねるという歴史的決定をした。
以上のような労使関係法の改訂によってもたらされた企業経営面での弾力性、雇用者と被雇用者の直接的な関係は、個別企業と経済全体に利益をもたらすと確信している。