経団連くりっぷ No.55 (1997年 5月 8日)

経団連活動報告

日米友好の絆がまた一つ生まれた


昨年9月から12月まで、米国テキサス州ダラス市を中心にジャパン・フェスティバル「サン(日章旗)&スター(テキサス州旗)1996」が開催された。当会では日本側実行委員会の発起人の1人に豊田会長が就任したほか、日本国内における資金調達と(社)海外事業活動関連協議会(CBCC)を通じて行なう免税措置の両面で協力を行なった。その結果、同フェスティバルは米国における日本紹介事業としては最大規模のイベントとなり大成功を収めるとともに、同実行委員会ではその成果をもとに、サン&スターの理念を継承するレガシー(記念事業)を創設することとなった。

  1. 「サン&スター」とは
    1. テキサス州はブッシュ前大統領をはじめ多数の有力政治家を輩出しているほか、経済面でも日本企業の有力投資先として枢要な地域であり、同地と日本の関係強化は重要である。他方、同州の対日理解度は他の州に比べ必ずしも十分とは言えない面も指摘されてきた。このため、クリントン大統領やモンデール駐日大使など米国首脳は、わが国政府ならび関係者に対しジャパン・フェスティバル「サン&スター」について、かねてより両国による共催を呼びかけていた。

    2. 総額1,000万ドルにのぼる同事業の経費については、日米双方で均等に負担することになり、これを受け事業の企画・推進および民間資金の調達機関として両国に実行委員会が設置された。日本側委員長には三田勝茂日立製作所会長、米国側委員長はアルバソールEDS会長が就任し、有力企業の参加を募った。
      資金調達面においても、実行委員会は関係各位に精力的に呼びかけ、会期前にはすでに物心両面の準備がほぼ完了していた。

    3. フェスティバルでは、安土桃山時代の文化展や、日本の民芸・浮世絵・版画展、歌舞伎、コンサートなどを通じ、約60の代表的な日本文化を紹介したが、両国関係者による熱意と努力により、結果的には入場者数は予想を上回る50万人超を記録、米国における日本紹介事業としては最大規模のイベントとなった。まさに大成功である。

    4. このことは、収支面にも幸いした。追加公演を含む入場料の大幅収入増と米国側による施設等無償提供に伴う支出減などにより、当初より日本側が切望していたレガシー(フェスティバル終了後の記念事業)に対しても約100万ドルにものぼる予算が組まれることとなった。
      関係者はこのレガシーを、サン&スターの理念を継承し、併せて両国の友好関係をより一層強固にするための事業とすることで合意し、以下のプログラムを創設することとなった。

  2. 主なレガシー(記念事業)
    1. サン&スター1996レガシートラスト
    2. 日米協会が行なう日本文化の教育特別プログラムへの資金的支援を行なう。25万ドルを永久基金に設定し、その運用益を充当する。管理・運営のため4名の管財人を任命する。

    3. Southern Methodist University(SMU)でのサン&スター1996日本講座基金
    4. 日本の政治・経済等についての理解を深めるため、SMUに一般市民が参加しやすい夕方の講座を開設する。サン&スターが寄付する50万ドルにSMUが同額を拠出し、総額100万ドルのマッチングファンドを設置する。運営・管理はSMUとし、毎年の使用額は基金残高の5.5%以内とする。

    5. 教師(小・中・高)の日本文化学習のためのサン&スター基金
    6. テキサス北部地区の教師に対する、日本の芸術・社会学・語学の学習のための資金的支援を行なう。2つの公立学校区に各々5万ドル、計10万ドルを管理・運営させ、4年間に500人の教師を対象に助成する。

    7. サン&スター1996国際文化交流基金
    8. サン&スターが成功した背景には、地元テキサス州による全面的な協力が挙げられる。準備段階での企画・調査費等の捻出、観客動員、募金キャンペーンなど多大な貢献であった。この善意に応えるため、同州が今後行なう国際文化交流のための準備資金を設置する。

    9. サン&スター1996記念冊子の発行
    10. サン&スターの成功を後世に伝え、併せて協力者に謝意を表するために記念誌を刊行する。

  3. おわりに
  4. 日本国内での資金調達は容易ではない。依頼者が各社をそれぞれ訪問の上、趣旨説明を行ないご理解を得る必要がある。これらの役割を日本側実行委員会の三田委員長を始め、日立製作所のスタッフがボランティアで担われた。
    また、フェスティバルに物心両面で協力を賜った関係各位にも厚くお礼申しあげたい。


ダラス美術館でのオープニングパーティー
(左から三田日本側委員長、カーク ダラス市長、豊田会長、アルバソール米国側委員長)


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