経団連くりっぷ No.56 (1997年 5月22日)

貿易投資委員会・国際企業委員会(司会 藤原常務理事)/4月25日

市場アクセスの改善に向けたOTOの取り組み


わが国政府は、1982年に市場開放問題苦情処理体制(OTO)を設立し、民間の有識者からなるOTO推進会議を中心に外国企業の対日市場アクセスの改善に努めてきた。現在、同推進会議では、わが国の市場アクセスの一層の改善に向けた政策提言をまとめ、5月にOTO対策本部(本部長:橋本総理大臣)に提出すべく審議を行なっている。そこで、同審議にわが国経済界の意見を反映させるべく経済企画庁の川口OTO室長よりOTOの活動状況等について説明を聞くとともに、意見交換を行なった。

  1. OTOの機能と活動状況
    1. OTOは、市場開放問題に関する苦情の窓口として1982年に設置された。苦情申立の方法には、(1)当事者である本人による申立、(2)経済団体や在日外国公館等を通じた申立の2種類がある。OTO発足以来97年4月現在まで555件の苦情が寄せられ、その内540件を処理した。

    2. 日米構造問題協議フォローアップを受け、1993年より問題提起プロセスを実施している。同プロセスでは、外国人事業者等からわが国の基準・認証制度などに関する問題提起を受けてOTO推進会議が必要な改善策を取りまとめて年1回を目処にOTO対策本部に提出し、これに対して同本部が決定した対応策を1年後にフォロー・アップしている。本年3月まで5回の問題提起プロセスが実施され、240件のうち104件について具体的成果が得られた。

    3. 94年にOTO推進会議は個別の各案件に共通する事項について審議し、必要に応じ本部に対して意見を述べることができるような建議機能が付与された。そこで、OTO推進会議室では、過去に受け付けた個別苦情や問題提起プロセスの案件のうち408件について整理し、6月にOTO対策本部に意見を提出すべく審議を行なっている。
      経団連からもぜひ意見を伺いたいと考えている。

  2. OTOの役割と特色
    1. OTOの役割としては、(1)苦情案件が迅速に処理される、(2)輸入検査手続や対日投資にかかる規制それ自体の緩和・撤廃に止まらず、市場アクセスの障害となる国内規制そのものも対象になる、(3)輸入促進と投資環境の整備に結びつくものであり、わが国の経済構造改革に繋がる、(4)わが国の基準・認証制度の問題の所在を明確化し、開放的なものとする等がある。

    2. また、OTOの特色としては、(1)いくつもの関係省庁にまたがる案件を政治問題化せず解決する紛争解決機能が備わっている、(2)一般消費者が個人輸入をした際に生じた具体的問題を提起することができる。(3)対日投資にかかる具体的苦情の受付処理を行なうことができる、(4)政府調達に関する苦情を申し出ることができる等がある。

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