経団連くりっぷ No.56 (1997年 5月22日)

第21回日本メキシコ経済協議会打合会・結団式(団長 川本信彦氏)/4月25日

ウリベ駐日メキシコ大使よりメキシコの経済情勢等を聞く


第21回日本メキシコ経済協議会(5月8日、9日の両日にメキシコ・シティにて開催)の打合会・結団式を開催した。当日は、ウリベ駐日メキシコ大使を迎え、最近のメキシコの経済情勢や日墨関係について説明を聞いた。ウリベ大使は、メキシコにおける構造改革による経済危機の克服、地理的優位性を活かした輸出促進努力などにつき説明するとともに、日本企業がグローバル化の拠点としてメキシコとの貿易・投資関係を拡大することを期待すると述べた。
以下は、ウリベ大使の説明要旨である。

  1. 構造改革が経済回復の鍵
  2. メキシコは過去10年間、市場開放、財政安定、国際収支の均衡、規制緩和、民営化などの構造改革を進めた。国際収支の均衡化に失敗し、95年には経済危機に直面したが、他の改革が順調に進捗したことが、96年第2四半期以降の急速な回復を可能とした。97年も引き続き経済の見通しは明るい。

  3. メキシコ市場の利点を活かす
  4. 急速な経済回復の原動力は輸出部門である。90年の外資自由化により輸出指向の外資が数多くメキシコに進出した結果、96年の輸出額は960億ドルと世界第15位となった。
    メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)をはじめ中南米各国とも自由貿易協定を結ぶことにより、優れた生産・輸出基地となっている。近い将来、欧州連合との自由貿易協定が成立すれば、NAFTAに匹敵するメリットが新たにもたらされるであろう。四方を大購買圏に囲まれている戦略的重要性を活かしつつ、労働力や製品の質の向上に努め、さらに輸出拡大を目指したい。

  5. 金融面での再建も順調
  6. 政府は96年から97年にかけて、300億ドルを投入して銀行の不良債権を購入するなどの銀行救済プログラムを実施しており、97年末には銀行再建はほぼ完了する見通しである。
    対米、対IMF負債の繰り上げ返済により、債務負担が大幅に軽減されており、公的対外債務は94年12月の310億ドルから96年11月には49億ドルまで減少した。

  7. グローバル化を目指す企業の架け橋に
  8. 対日貿易は赤字であるが、日本からの資本財輸入は輸出に必要なものであり、問題視していない。また日本の総合商社はメキシコ製品のオフショア・セールスに大きく貢献している。
    対メキシコ直接投資に占める日本の割合は4%に過ぎず、将来の拡大の余地が大きい。特に、大西洋経済圏を視野に入れてグローバル化を目指す日本企業には、そのための架け橋としてぜひメキシコを利用していただきたい。


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