経団連くりっぷ No.56 (1997年 5月22日)

21世紀政策研究所運営委員会/5月14日

今年度の活動方針を審議
−第1回運営委員会を開催


経団連では、昨年創立50周年を迎えたことを機に、本年4月1日付で「21世紀政策研究所」(会長:豊田章一郎氏、理事長:田中直毅氏)を設立した。5月14日には、今年度の活動方針を審議するため、第1回運営委員会(委員長:豊田会長)を開催し、今年度は、社会的ニーズや緊急度の高いテーマを優先して取り上げる方針を確認した。

  1. 豊田会長挨拶
  2. 民間が政策研究に基づいたビジョンづくりや具体的な政策の立案・遂行に主導的な役割を果たしていくことが不可欠であり、21世紀政策研究所の設立を契機に、民間サイドで公共政策を研究する拡がりと厚みが出てくればと期待している。

  3. 田中理事長挨拶
    1. 公共政策を研究対象とする研究所の独立性を確保するためには、国家三権やマスメディアに対してはっきりと物が言えて、また経済界にも整合的、合理的でない行動や発言に対して明確な意志表示をすることが求められる。

    2. 本研究所では、結論が予測不能であっても、重要なテーマであれば果敢に取り組む。その結果、成果が出なければ、相応の評価を甘受する。

    3. テーマの選択に当たっては、短期的なテーマと21世紀に向けた長期的な視点が必要となるテーマのバランスをとることが重要になろう。

  4. 今年度取り上げるべきテーマと研究体制について
    1. 各委員からは、
      1. 長期的な視点から、大きな拡がりを持ち深い考察が必要なテーマを取り上げることが研究所の使命であるが、今年度は実践的なテーマを選択して取り組むべきである、
      2. 研究テーマとしては、内需振興と土地流動化対策、都市機能・地域インフラの更新、エネルギー効率化に着目した交通インフラの整備、規制緩和の効果の検証、大競争時代の地域産業政策、金融サービス法の制定と公的金融システムの見直し、医療・年金・社会保障制度の見直し、少子化問題、情報革命への対応、科学技術の振興、環境政策、東アジアの安全保障問題、環境技術協力の枠組みなどを候補にしてはどうか、
      3. 間口を広げすぎて緊急度の高いテーマの研究が遅れることがあってはならず重点化が必要である
      などの意見が出された。

    2. そこで、
      1. 今年度は、5月27日開催予定の経団連定時総会の議を経て、10程度の研究テーマ候補を決定し、その中から社会的ニーズおよび緊急度の高いものを3〜4選びタスクフォースを組織化する、
      2. そのため、経団連会員企業、関係機関に対して研究者の派遣(10名程度)を要請する、
      3. 具体的な研究の進め方や内容については、研究体制が整った段階で、改めて運営委員会を開催し審議する
      などの方針が確認された。


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