経団連くりっぷ No.56 (1997年 5月22日)

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「規制緩和マンション」は職住接近とゆとりある居住環境を可能にする


「高層住居誘導地区」の創設と、マンション等共同住宅の容積率規制の合理化を内容とする都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案が今国会に提出された。これは経団連の要望の方向に沿い、3月に閣議決定された「規制緩和推進計画」の方針を具体化したものである。この法改正により、より広い良質な共同住宅が安価に供給され、土地の高度有効利用の促進、職住接近の都市構造の実現の第一歩となると期待されている。

高層住居誘導地区は、都市における居住機能の適正な配置を図るため、高層住宅の建設を誘導すべき地区を地方公共団体が都市計画に位置づけ、住宅割合3分の2以上の建築物の容積率の引き上げ(400%→600%まで)、斜線制限の緩和、日影規制の適用除外等を行なうもので、供給戸数の増大、一戸当たりの価格の低下が期待される。また、マンション等共同住宅の共用の廊下・階段が容積率制限の対象から除外されることにより、こうした効果に加え、高齢社会に対応したゆとりある廊下等を備えたマンションの建設が見込まれる。

これらの規制緩和の効果を十分に引き出すには、良質な住宅の供給に向けた不動産業者の努力とともに、都市計画の決定権者である都道府県知事等が住民の都市計画、地区計画への積極的な参加を促し、「目指すべき都市像」をきちんと都市計画に位置づける必要がある。そのうえで、高度利用すべき土地に「高層住居誘導地区」等の指定をするとともに、郊外の保全すべき農地や自然をスプロール化から守ることが必要である。


【法改正後の港区三田のマンション分譲可能価格の試算】

[前提条件]
地 価       1,373千円/m2
建築費 中高層   185千円/m2
    超高層   200千円/m2
敷地面積      1,000m2
住戸専用面積    75m2/戸
共用部分面積    25m2/戸
その他(基盤整備、経費、販売費等) 11,500千円/戸
    

現  行

容積率 300%
(指定容積率400%だが、日影規制などにより実効容積率300%)
建設戸数30戸、総延べ床面積3,000m2
75,800千円/戸

改 正 後

容積率 720%
(容積率600%に引き上げ、かつ不算入となった共用部分を現行方式で算入した場合)
建設戸数72戸、総延べ床面積7,200m2
50,600千円/戸

(建設省資料より作成)


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