経団連くりっぷ No.57 (1997年 6月12日)

日本ブラジル経済委員会第17回定時総会(委員長 室伏 稔氏)/5月20日

日伯関係の促進に果たす経団連の役割


97年度の日本ブラジル経済委員会を開催し、96年度事業報告・収支決算ならびに97年度事業計画・収支予算を審議、了承した。審議に先立ち、ヘイス駐日ブラジル大使より、最近のブラジル情勢と日伯関係について説明を聞いた。また、豊田会長、室伏委員長より、3月のブラジル訪問の模様(『月刊keidanren』6月号参照)について報告を行なうとともに、そのフォローアップについて討議した。
以下はヘイス大使の説明の概要である。

  1. 経済に楽観的な見通し
  2. ブラジル経済については、貿易収支の赤字問題が指摘されているが、96年の外国からの直接投資は90億ドル、97年は民営化等もあり150億ドルに達すると見込まれており、貿易赤字を補うに十分であると見られる。
    貿易赤字の拡大は、ブラジル経済の開放度、海外からの直接投資等に伴う設備投資の増加を反映しているに過ぎない。今後4年間で940億ドルの直接投資が見込まれているが、特に日本からの投資の拡大を期待している。
    こうしたなか、ブラジル政府は、産業の競争力強化を目指して「行動するブラジル」という計画を掲げ、インフラ整備に努めており、今後2年間で540億ドルの投資を計画している。その他、福祉制度改革、行政改革や、州政府との財政分担の見直しなどを通じ、財政の健全化を進めている。
    ブラジル経済は明らかに良い方向へ向かっており、これによって社会全体が自信を深めている。

  3. 日本との交流の活発化に期待
  4. 日本とブラジルは、古くからの友好関係を大切にしつつ、今後はさらに新しい関係を切り開くことが重要である。
    進行中の改革により、ブラジルにおける政府の役割は医療・教育・住環境・治安の近代化・効率化に重点を置くようになり、経済発展に関しては、民間の役割を支援していくこととなる。つまり、政府は外資を含めた民間企業が競争力を発揮できる環境の整備に努めていく。
    このように民間の活動の場が広がるなかで、日本企業の実り多い協力を期待したい。日伯間の協力は双方に共通の利益をもたらすものと考える。経団連は、その触媒の役割を果たし、新しい共同事業の先頭に立つことが期待されている。その意味で、先般の豊田会長他のブラジル訪問は、大きな役割を果たしたと評価している。
    日伯間の100年にわたる友好関係を礎として、民族間の理解をさらに促進し、協力の可能性を最大限に活用することにより、ますます交流が活発化することを期待する。


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