経団連くりっぷ No.58 (1997年 6月26日)

産業集積の創造力に期待

─政府の産業立地政策が転換


産業構造審議会産業立地部会では、5月26日、今後の産業立地政策のあり方について中間答申を発表した。同答申では、国土の均衡ある発展を引き続き目指しつつ、
  1. 「工場の移転等」を中心とする政策から、「産業集積の活性化やその新たな形成」を促進する施策への見直し、
  2. 大都市圏等における大規模工場跡地の発生や工場の老朽化などの問題への対応、
  3. 国際的な地域間分業や外資系企業も視野に入れた産業立地政策への転換
などを提言した。

これらの具体策として、先の通常国会において地域産業集積活性化法が制定されたほか、経団連が要望してきた工場立地法、工場等制限法の見直し、臨海工業地帯における立地規制の緩和などが実施されることとなった。今後は、新たな産業立地政策の推進とともに図のような産業集積メリットを活かした事業者間の連携が期待される。


産地として集積することの今後のメリット

産業集積のメリットとして、共同製品開発、共同販売、人材交流など、
取引関係にとどまらない事業者間の連携・協力があげられ、
地域における創造力の発揮が期待される。

市場情報収集が容易51.7
公的支援が得やすい46.3
適度な競争関係で品質が向上45.2
技術情報交換で共同製品開発が可能41.9
原材料・部品調達が容易41.0
外注先の確保が容易31.0
適切な分業関係の存在で専門分野に特化できる27.9
共同仕入・販売が可能27.9
受注・販売先確保が容易27.3
専門技能を持つ人材の確保・交流が容易19.4
専門技能を有する企業が見つけやすい16.8
異業種交流が図られる15.9
短納期が実現できる13.8
インフラの整備・共有が図られる7.4
労働力の量的確保が容易6.1
特にメリットはない2.0
その他1.3

対象:年間生産額がおおむね5億円以上の537産地、複数回答
資料:「全国の産地−95年度産地概況調査結果」中小企業庁 96年


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