経団連くりっぷ No.58 (1997年 6月26日)

日本ミャンマー経済委員会(委員長 鳥海 巖氏)/5月28日

最近のミャンマー情勢とそれを取り巻く国際関係


6月2日〜3日にヤンゴンで開催予定の第1回日本ミャンマー合同経済会議に向けて、日本側代表団結団式を開催した。当日は、外務省の加藤良三アジア局長より、最近のミャンマー情勢ほかについて聞いた。

  1. これまでの経緯と最近の情勢
  2. SLORC(国家法秩序回復評議会)が、90年の総選挙の結果に従わず、圧勝したスー・チー女史率いるNLD(国民民主連盟)に政権移譲を行なわないことが、SLORCの正当性を脅かす最大の問題である。
    ミャンマーは国際的に批判ばかりされている。しかし、92年4月SLORC議長に就任したタン・シュエは、今日に至るまで、政治犯の釈放(現在まで約2,000人強釈放)、反乱軍に対する戦闘の停止、戒厳令の撤廃、国民会議の開催、スー・チー女史の自宅軟禁の解除等、民主化および人権の面で前向きな措置を順次取っている。しかし、SLORCは宣伝が下手であるため、その成果が正当に評価されていない。
    一方、スーチー女史は、95年7月10日、6年ぶりに自宅軟禁が解除された後、NLDの総書記に復帰し、SLORCに対する批判的姿勢を明らかにしてきている。その間に、当局の関与のものと思われるNLD幹部への襲撃事件など、不安定な状態が続いているため、96年12月からスー・チー女史の外出を控える措置が取られている。

  3. 外 交
  4. ASEANとの関係については、昨年11月の非公式首脳会議で、時期は明示されなかったが、ミャンマー、ラオス、カンボジアの3国同時加盟が決定された。加盟の時期については、来る5月31日のASEAN特別外相会議が濃厚と思われていたが、現在では、カンボジアの経済状況などを理由に、年末のASEAN非公式首脳会議まで延びる可能性が高いと伝えられている。
    欧米諸国はミャンマーに対し強い懸念を表明し、速やかに民主化勢力との対話を開始することを強く求める厳しい立場をとっている。特にアメリカは、今年4月にミャンマーへの米国企業による新規投資禁止措置を発表(5月21日より施行)した。また、マサチューセッツ州も昨年6月、ミャンマーと商取引のある企業に対する政府調達を制限する法律を制定した。

  5. わが国との関係
  6. 日本政府としては欧米の厳しい態度とは一線を画している。日本は以前から、SLORC、NLD双方との対話を維持し、早期民政移管に向け努力すべるよう、粘り強く申し入れをしてきている。日本にとって大切なことはミャンマーの国全体の安定と発展であり、そのためにはSLORCとNLDの間での対話が重要であることを伝えてきている。


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