輸送委員会合同部会/5月30日
利用者ニーズの高度化・多様化に競争原理で対応する一方で、雇用の確保が問題となる可能性がある。発生した余剰の雇用を吸収することを含め、新しいサービスの創出が期待されるが、それに伴う技術的・経営的なリスクへの援助の問題も出てこよう。
現実の社会は完全競争下にはないことから、独占に対するルールや国際間の標準化についての調整も必要となる。また、道路混雑に対応して大量交通機関の公正な競争機会を確保することなども行政の役割といえる。さらに、混雑空港におけるスロット配分の調整も課題となろう。
国際競争力の確保のためには、規制の緩和や事業者に効率改善のインセンティブを与える規制が必要であり、この一例が上限価格制や新規参入企業の優遇による競争圧力である。また、事業者に消費者が望む情報の開示を促す必要もあろう。
交通サービスは他のサービスに比べ消費者の選択の自由度が少ないことから、独占状態におけるサービスの質をチェックする体制を別途検討する必要がある。
消費者が安全の情報を把握しにくい面も多く、すべてを市場メカニズムに任せるべきではない。
高齢者や障害者に対する優遇措置の費用を誰が負担するのかが問題となる。規制緩和を行なうと内部補助の余地はなくなるが、その一方で財政支出の削減が叫ばれている状況であり、生活路線の問題とともにかなり工夫を要する課題である。
NOx等による大気汚染とCO2による地球温暖化が大きな問題となっており、低燃費・低公害車の開発、大量輸送への誘導の他、公害の少ないモードやルートの選択を可能とするための施策も検討すべきである。また、税制の利用の可能性についても検討を深める必要がある。