経団連くりっぷ No.60 (1997年 7月24日)

フジモリ ペルー共和国大統領歓迎昼食会/7月4日

フジモリ政権の成果と将来展望


来日したフジモリ ペルー共和国大統領を歓迎し、経済6団体による昼食会を共催した。スピーチの中で大統領は、ペルー経済の着実な回復への強い自信を表明した。また1999年の日本人ペルー移住100周年を機に、日本・ペルー両国の関係が一層強化されることへの期待を表明した。以下は大統領の発言概要である。

  1. ペルーは短期間に、将来の発展が有望視される新興国となることができた。これは政府の一貫性のある政策および国民全体の多大な努力によるものである。
    以前、ペルーは債務支払不能寸前の状態となり、国際金融市場から孤立した。私はペルーを選択肢が持てる国にするため、債務のリスケ、より有利な条件での融資獲得等に努力した。将来の世代が支払えないような債務を相続させないようにするため、債務をGDPの3分の1の200億ドル以下に押さえ、国際金融市場への復帰を目指した。また借款のみに依存せず、国内貯蓄の活用に努めた。1997年4月現在の債務残高は194.5億ドルであるが、ペルーが現実的で理にかなった対策を施してこなければ、債務は330億ドルに膨れ上がっていたと思われる。
    また、教育投資推進法や健康社会保険近代化法の制定等、大胆な経済改革を進めている。ペルーは決して10年前の姿に戻ることはない。経済の安定と成長、中小企業の投資などが国民の福祉の向上に不可欠であることを、議会も一致して認めている。

  2. マクロ経済も改善している。1997年1〜5月のインフレ率9%は最近の4半世紀で最低であり、この間のGDP成長率は7%を記録、外貨準備高も記録的に高い水準にある。また年金改革や国営企業の民営化も実施している。企業は長期的な展望のもとに、ペルーの貴重な伝統や豊かな文化等を損なうことなく近代化を進めている。われわれは品質の向上と国際競争力の強化という2つのコンセプトを重視しており、これがペルーの経済政策、社会政策の指針となっている。

  3. リマの日本大使公邸占拠事件では、企業の関係者の方々が4カ月間人質として生命の危険にさらされた。人質となっていた方々の忍耐と勇気に対し心より感謝したい。ペルー政府は毎日状況を分析し、適切な手段を講じてきた。ペルー政府と人質のモラルの力でテロの力と対決し、勝つことができた。

  4. ペルーへの海外からの投資の可能性はますます増大している。1999年は日本人のペルーへの最初の移住から100周年にあたる。移住者たちは勤労により両国間を結びつけた。私は両国が再び結びつけられることに強い関心を持っている。そのためにも、企業人や観光客に古くて新しいペルーにぜひお越しいただき、昔からの友情を基に新たな可能性を発見してほしいと考える。


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