経団連くりっぷ No.60 (1997年 7月24日)

情報通信委員会(委員長 藤井義弘氏)/7月2日

通信市場改革に向け、日米欧のパートナーシップを


情報通信委員会では、7月2日、来日した米国連邦通信委員会(FCC)のリード・ハント委員長と懇談した。ハント委員長は、「WTO基本電気通信交渉合意等により、競争の枠組み作りは完了した。今後は、通信市場での競争を機能させるための具体的な政策の実行が必要となり、その際、日米欧のパートナーシップが重要である」と強調した。藤井委員長からは、FCCが先延ばしにしているNTT、KDDの米国子会社への認証を早期に行なうよう求めた。

  1. ハント委員長講演概要
  2. ハント委員長

    1. 通信市場は独占から競争の時代へ
    2. 96年2月の米国新通信法の制定、本年2月のWTO基本電気通信交渉合意、6月のNTT再編成法案の成立等により、世界は、これまで独占だった電気通信市場に競争を導入するという、新しい通信政策の時代に入った。今後、通信料金の低廉化、通信産業の発展を図るためには、競争の枠組みの議論(第1段階)から、実質的に競争を機能させるための具体的な政策の実行(第2段階)に移っていかなければならない。

    3. 新しい時代の通信政策のあり方
      1. 今後、何より重要になるのは、迅速かつ透明な手続により政策決定を行なっていくことである。情報通信の世界では、動きの遅い国は取り残されてしまう。政策決定が迅速に行なわれれば、民間は機動的に投資決定を行なうことができる。

      2. 今後、各国は、自国の通信市場について、他国から評価を受けることになる。例えば接続料金、通信料金が割高、あるいはネットワークがオープンでない場合には、批判を受けることになる。経済、技術またビジネスは世界共通であり、唯一の違いは政府の政策である。

      3. 今後、イコールアクセスの確保や免許制度のあり方、技術基準等について、世界共通のコンセンサスを作るべきである。そのためには、日米欧のパートナーシップが重要である。

      4. 通信業界再編は、世界規模で進んでいくため、グローバルな競争を確保するためには、日米欧が共同して合併の基準作りを行なうことが重要である。

  3. 懇談概要
  4. 藤井委員長:
    NTT、KDDの申請について、早急に認証してほしい。

    経団連側:
    今後、通信料金が低廉化するなかで、通信事業者はどこに収益の源を求めていけば良いのか。

    ハント委員長:
    通信料金の低廉化は、さらなる大容量の通信需要を生み出すため、通信事業者の収益減には繋がらない。


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