経団連くりっぷ No.62 (1997年 9月11日)

ネタニエフ・イスラエル首相講演会/8月25日

中東の和平と繁栄を希求するイスラエル


経団連では、93年に三好事務総長(当時)を団長とするミッションをイスラエルに派遣するなど、同国との交流深化に努めてきている。このたびネタニエフ・イスラエル首相が初めて来日したのを機に、標記講演会を開催した。当日は、イスラエル側同行閣僚およびビジネスマンを含む約300人が出席した。
なお、ネタニエフ首相は講演会に先立ち、豊田会長と懇談した。

ネタニエフ首相講演要旨

ネタニエフ首相
  1. イスラエルは今、2つの重要なプログラムを追求している。すなわち和平と繁栄である。和平については、すでに近隣諸国との間で和平へのプロセスをコミットしており、目下その実現に向けて努力しつつある。その道程は必ずしも平坦ではないが、断固として立ち向かう所存である。
    次に繁栄について。イスラエルは日本と類似しており、国土は狭く天然資源にもめぐまれていない。日本がその人的資源をもって世界第2位の経済大国になったように、イスラエルもエンジニアを育て技術革新をもって世界有数のハイテク大国に発展した。エンジニアは人口1万人当たり115人であり、米国の85人を上回っている。また、ハイテク関連企業は1,000社を超え、米国に次いでいる。日本の経済力・生産力とイスラエルの技術を組み合わせ、相互の繁栄・発展を図りたいと願っている。

  2. 中東和平プロセスが思うように進展しない中で、イスラエルへの外資流入は盛んである。ちなみに、シーメンス、GE、フィリップスなど欧米の有力企業が参入しており、GDPの2.6%を外資が占めている。日本企業もイスラエルの技術、ポテンシャルに注目し、積極的に進出してほしい。
    日本に対して協力を求めたいプロジェクトとしては、水資源開発分野がある。われわれにとって水資源の確保は領土とともに重要な問題である。水の問題が国際紛争に発展することも少なくない。今、ヨルダンとの間で淡水化プロジェクトを計画中である。本件に対する日本の協力を橋本首相にも要請したところである。

  3. 明98年10月、建国50周年を記念し、首都テルアビブにおいて大規模な国際会議ビジネス・サミットを開催する。会議には米国のゴア副大統領はじめ各国の関係閣僚、ビジネスマンを招く予定であり、イスラエルのハイテクを中心とした経済・産業の現況を具に示し、また将来の開発プロジェクトを紹介するつもりである。中東の言わばシリコンバレー・イスラエルの視察を兼ね、ビジネス・サミットにぜひ参加してほしい。その時期までには日本との直行便も開設していよう。


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