経団連くりっぷ No.62 (1997年 9月11日)

フレイ チリ大統領歓迎昼食会/9月1日

大きく前進するチリの経済・社会


日本チリ修好100周年を記念して来日したフレイ チリ大統領を歓迎し、経済6団体の共催による昼食会を開催した。席上、フレイ大統領は、チリが近年、政治改革、社会の安定化に成功するとともに、経済もきわめて堅調であることを強調し、わが国企業との関係強化に強い期待を表明した。以下は大統領のスピーチの概要である。

  1. 政治・経済・社会の発展
  2. チリは歴史の大半において民主主義の下に発展してきた。困難な時期もあったが、90年に民主主義を回復した後は、地方分権の促進、司法制度の近代化、大幅な教育改革等に努めている。
    経済は13年連続プラス成長、過去10年間の年平均成長率は6%超ときわめて堅調であり、海外からの直接投資、輸出入も順調に伸びている。90年には27.3%であったインフレ率も、わが政権発足後3年間で1桁台にまで低減し、先進国並みの水準を達成した。
    ただし、経済成長は長期的に国民の生活水準の向上を伴わなければ無意味である。われわれは、経済成長を遂げながら社会の不平等を解決することが可能であることを日本から学んだ。近年、雇用状況が質量ともに改善し、また歳出の70%強を教育、安全、保健等の社会投資に投じた結果、90年に比べて貧困の水準を半分近く引き下げることができた。

  3. 対外開放政策
  4. チリは、太平洋を結ぶあらゆる国際的枠組みへの参加に関心を有しており、APEC、PECC、PBECに加盟し、これらの枠組みの中で促進される自由化や国際協力のプロセスに熱心に参加している。APECでは、貿易自由化を、先進国と同じ2010年を期限として達成することを約束した。また本年にはPECCの第12回総会が、来年はPBECがチリで開催されることになっている。
    南米大陸においても、重要な絆を築いてきた。メルコスールとの自由貿易協定の締結により、2億人の市場を得るとともに、メルコスール諸国と太平洋諸国との間の結びつきを強化する役割を果たすことができるようになった。他に、カナダ、中南米のほとんどの国々との間に自由貿易協定を締結、または交渉している。

  5. 対日関係の強化に期待
  6. チリ経済の明るい見通しを受けて、海外からの直接投資がかつてない伸びを示している。しかし日本からの投資については、両国間の貿易関係の水準に比しても未だ十分とは言い難い。メルコスールとの関係も踏まえ、幅広い分野で日本からの投資の機会が存在することが、最近の調査でも報告されている。
    冒頭にも述べたように、チリは政治・経済・社会面で改革の成果を上げている。日本企業の方々が、安定した、信頼できる国であるチリに来てくださることを強く期待している。


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