経団連くりっぷ No.62 (1997年 9月11日)

訪オーストラリア・ミッション結団式/8月26日

アジア地域のさらなる繁栄に向け
日豪のパートナーシップ強化を


昨年9月に、ハワード首相が来日した際、経団連によるハイレベル・ミッションの派遣要請があり、これに応える形で、来る9月8日から16日まで、豊田会長を団長とする経団連ミッションがオーストラリアを訪問する。
今般、同ミッション結団式を開催し、カルバート在日オーストラリア大使を招いて、最近のオーストラリアの政治・経済情勢について聞いた。

  1. 日豪の貿易関係
  2. オーストラリアにとって日本は最大の貿易国である。1996年のオーストラリアの対日輸出は156億ドルで、全輸出額の20%に相当する。日本からの輸入額は、100億ドルに達した。一方、日本にとってオーストラリアは6番目に大きな輸入先で、石油を除くエネルギーの最大の供給国である。
    オーストラリアは、財とサービスの対日輸出の拡大につながることから、日本の規制緩和を期待し、特に農業部門での進展を望んでいる。
    日本からオーストラリアへの投資も、3番目に多く、その分野が過去10年の間に、不動産から製造業へと移っている。これは重要かつ歓迎すべき傾向である。

  3. 共通の地域的・国際的関心事項
  4. オーストラリアと日本は、地域的・国際的な関心を共有している。二国ともアジアとは密接な関係にあり、アメリカとの同盟関係を、地域の安定にとって不可欠の要素と考えている。また、APECが地域経済協力における主要な枠組みであると認識している点も一致している。
    オーストラリア政府は、アジアとの関係の中で、特に日本をはじめとする東アジア諸国との関係を、外交上最優先事項としている。日本との協力関係は、アジア地域全体の繁栄と安定に大きく貢献するものであり、二国間のパートナーシップを確立することが、今後の重要課題である。

  5. オーストラリア経済の見通し
  6. オーストラリア経済については、97年〜98年の公式見通しによると、財政引締めが国内需要に影響を及ぼすにも拘わらず、実質GDP伸び率は、3.75%と予測されている。また、低金利に裏打ちされ、ビジネス投資の伸びは17%と予想されている。

  7. 政府の経済改革項目
  8. ハワード政権は、オーストラリアの国際競争力を強化するために、生産性および経済の柔軟性を向上させることを目的とした労働市場改革、2年以内の財政赤字の解消を目標とする財政改革、金融分野での規制緩和、電気通信分野および航空・鉄道分野等における民営化の促進、税制改革等、広範な構造的経済改革ならびに制度改革を実施している。
    日本政府も行政改革に取り組んでいるところであり、日豪両政府が互いに学ぶことは多いと考える。


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