経団連くりっぷ No.63 (1997年 9月25日)

なびげーたー

本格化する産業本部関連の各委員会活動

産業本部長 永松 恵一


着実な景気回復を促す経済構造改革とは、限られた財源を効率的、重点的に配分し、ソフトを最大限に活用することである。

最重要課題である規制の撤廃・緩和については、12月で任期が終了する行政改革委員会の次の受け皿をどうするかが重要であり、経団連では、新たな第3者機関の設置を強く求めていく。省庁再編は11月に結論が出されることになっているが、数合わせではなく、縦割りを排した簡素、効率的な組織作りが重要である(行革グループ)。

国際的には、12月に京都で開催されるCOP3への対応がひとつの焦点となる。経団連では、すでに36業種が参画した環境自主行動計画を策定したが、地球環境問題の解決には、産業、運輸、一般家庭の三位一体の努力、また先進国間、発展途上国との協力が必要である。まずCO2税ありきの発想は馴染まない。環境問題との係わり等を調査するため、11月にはエネルギーミッションを欧州に派遣する(地球環境・エネルギーグループ)。

公共事業の見直しが進められる中で、日本経済活性化の一環として、中心市街地の活性化と総合物流施策大綱の具体化が政府・与党の重要関心事となっている。経団連としても積極的に取り組んでいくが、モデル地区の設定やボトルネックの解消など事業の重点化、緊急性への配慮が何よりも必要である。土地・住宅税制についても地価税の廃止など抜本改革を求めていく。農業問題については、9月16日に意見をとりまとめ、産業としての農業の確立に全力を挙げるべきことを指摘している。首都機能移転の重要性はいささかも変わっておらず、検討期間が延長されたのを機に、経団連としても、新しい東京圏の創造など幅広い取組みを行なうこととしている。

むつ小川原開発問題は、新しい全総計画の中で明確に位置づけられることが重要であり、厳しい立地環境の中で、21世紀に残された数少ない優良工業基地としてどう保全していくかが鍵となる(国土・農政グループ、首都機能移転グループ)。

情報化社会の到来を控え、欧米との情報化格差が懸念されているが、民間活力を主体とした情報化の推進、行政自体の一体的な情報化、情報リテラシーの向上等が求められる。また、NTT再編後の公正有効競争の確保、放送と通信の融合問題、国際的再編成等も重要検討課題である。新産業・新事業の育成支援策も、日本の成長力の源泉として幅広く検討を進める(情報・新産業グループ)。

科学技術の重要性も同様であり、引続き省庁再編問題、科学技術戦略の確立等について議論を深めていく。また宇宙開発・利用については広報の充実、防衛産業に関しては、厳しい防衛予算の下での生産・技術基盤の維持に焦点をあてていく(技術グループ)。


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