経団連くりっぷ No.63 (1997年 9月25日)

エイベルソン米国通商代表部情報通信担当主席交渉官との懇談会/9月11日

電子商取引推進の枠組みのあり方について


経団連では、クリントン米国大統領が7月に発表した「グローバルな電子商取引のための枠組み」の今後の課題をめぐり、ドナルド・エイベルソン米国通商代表部情報通信担当主席交渉官と懇談した。席上、エイベルソン交渉官は、電子商取引を無関税とするとともに、技術的な標準等は市場が決めるべきであること等を強調した。

  1. エイベルソン氏説明概要
    1. 電子商取引推進のための基本的考え方
    2. 電子商取引については、通商摩擦は存在せず、求められるのは協力関係である。今後、枠組みづくりにあたっては、
      1. 民間主導、
      2. 政府の不当な規制の回避、
      3. 政府の規制・ルールが必要な場合にも予見可能性があり、最小限の合理的なものでなければならないこと、
      4. インターネットのユニーク性の尊重、
      5. インターネットはグローバルなものであることの認識、
      の5原則をふまえる必要がある。

    3. 重要課題への取組み
      1. ハードウェアについて、現在のITA(情報技術協定)を拡大したITA IIにおいて無関税の対象となる商品の拡大を図っていく。また、インターネット上で提供されるデジタル・コンテンツならびにインターネットを通じてユーザーに提供されるサービスを無関税とすべきである。

      2. インターネット・サービスの提供については、電気通信事業者など直接インターネット・サービスを提供するサービス・プロバイダーには、免許等固有の規制の問題がある。医師等その他のサービス提供について、ある国の免許・許可を外国でも通用させる相互認証等について検討する必要がある。また、不法なサービスについては、テロ行為などの普遍的に不法な行為と、文化等の差異から国によって取扱いが異なる場合とに分けて対応を協議すべきである。

      3. 標準化問題については、政府ではなく市場が決めるべきである。

  2. 懇談概要
  3. 経団連側:
    電子商取引に関し不正行為等が生じた場合、弱者を保護する必要があるのではないか。
    エイベルソン交渉官:
    インターネット自体が問題を起こすのではなく、不正行為等を防止するための協力が必要である。

    経団連側:
    政策的枠組みは将来見直すことがあるのか。
    エイベルソン交渉官:
    将来的な見直しはありうるが、電子商取引から受けるべき恩恵とリスクのバランスを考え、自己責任原則を貫くべきである。

    経団連側:
    暗号技術に関する国際的な基準、ルール作りについて米国がリーダーシップをとる予定はあるのか。
    エイベルソン交渉官:
    現段階では、暗号問題は国内問題として議論している。


くりっぷ No.63 目次日本語のホームページ