経団連くりっぷ No.63 (1997年 9月25日)

第3回日本コロンビア経済委員会合同会議(団長 槇原 稔氏)/9月5日

コロンビアの魅力と可能性に注目を


日本側約70名、コロンビア側約30名の参加を得て、第3回日本コロンビア経済委員会合同会議が2年半ぶりに東京で開催された。友好的な雰囲気の下、両国の経済界代表による今後の経済交流の一層の発展に向けた、密度の濃い、実り多い討議が行なわれた。

  1. ミサス大統領経済顧問講演概要
    1. コロンビア経済情勢
    2. コロンビアは、適切な経済運営の下、過去50年間連続して安定的な成長を続けてきた。90年代には、規制緩和、為替管理の自由化等の経済開放政策を積極的に進めている。インフレ率はラ米諸国の中でチリと並んで低く、また堅実な財政運営の結果、財政赤字は十分に管理可能な範囲内にある。
      貿易面では、輸出に占めるコーヒーの割合が減少し、鉱物、石油、非伝統産品が伸びるなど多角化が進んでいる。また、海外からの投資が鉱業、運輸、金融、インフラ整備部門を中心に大幅に伸びている。
      こうしたなか、貧困層の減少、1人当たりGDPの上昇、平均寿命の伸び、社会保障制度の充実等国民の福利厚生が向上している。

    3. エネルギー関連プロジェクト
    4. 石油については、従来Ecopetrol(国営石油公社)が独占していた石油精製、ガソリンの販売等の規制が撤廃された。今後Ecopetrolは採掘に専念(一部は、採掘を海外の企業に委託)し、他の分野については民間企業に順次委ねていく方針である。
      電力の民営化は実施が遅れていたが、現在は一連の基準が整備され、ベタニア、チボールの2つの大発電所が売却された。ボゴタ電力公社も民営化される計画である。

  2. 経済交流強化へ向けた活発な意見交換
  3. 会議を通じ、コロンビア側は、経済の良好なパフォーマンス、石油をはじめとした豊富なエネルギー資源、太平洋と大西洋に面した地理的優位性、地域経済統合の進展を通じた米州市場全体へのアクセスの良さ等をコロンビアの魅力としてアピールした。また環太平洋諸国、特に日本との経済関係の強化を重視している点を強調するとともに、数多くの有望投資プロジェクト、インフラ整備プロジェクト等を紹介し、日本からの積極的参加を呼びかけた。

    一方日本側は、各企業の実際の投資、事業計画の経験に基づき、今後対コロンビア・ビジネスを拡大していくためには、

    1. 治安・麻薬問題の改善、
    2. 政策の安定性、継続性、予見可能性、
    3. 太平洋側のインフラの整備、
    等が必要であると指摘した。

    なお、両国間の協力プロジェクトとして進めてきた石油精製所建設については、事業主体をめぐり意見の一致を見ることはできず、今後の取扱いについて、両国でさらに検討することとなった。


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