経団連くりっぷ No.64 (1997年10月 9日)

創造的人材育成協議会企画部会(部会長 森本昌義氏)/9月19日

国際水準化を掲げて大学改革に取り組む


創造的人材育成協議会企画部会では、経済界と教育界のインターフェイスの拡大策等を検討する一環として、立命館大学の慈道 教学担当常務理事より、立命館大学の大学改革への取り組みや、リエゾン・オフィスの活動概要等について、説明を聞いた。以下はその概要である。

  1. 今後の人材育成の目標と大学改革
    1. 立命館大学では、
      1. 大学教育におけるグローバル・スタンダードの追求ということでの国際水準化、
      2. 多様化する学生ニーズ・期待への対応ということでのユニバーサル化、
      3. 生涯学習社会への対応、
      の3つを、今後の人材育成の柱として考え、大学改革に取り組んでいる。

    2. 具体的には、留学生と日本人学生をほぼ同数とし、外国人教員を約4割、英語と日本語を共通言語とする等、グローバル・スタンダードに対応できる「アジア太平洋大学」を、1999年度、大分県別府市に設置する。

    3. また、日本では、社会科学系の学問が遅れているので、現場での教育を重視し、学際的・問題解決型の教育を行なう政策科学部を設置した。

    4. さらに、98年度より、経済・経営・理工の3学部の学問領域を融合した、文理総合の「インスティテュート」を、びわこ・くさつキャンパスに設置し、ファイナンス、サービス・マネジメント、環境・デザインの3テーマで、新しいカリキュラムを試みる。

    5. 他に、進路開発と専門学習との連携の観点から、有料で各種の資格取得ができるエクステンション・プログラムを設け、トータルな自己開発・自己形成の場となるようにしている。

  2. 「リエゾン」活動による産学の連携
    1. こうした改革を行なう上でも、産業界との連携が重要である。立命館大学では、95年、産官学交流推進室の設置に伴い、産官学交流の大学側窓口となる「リエゾン・オフィス」を衣笠キャンパス、びわこ・くさつキャンパスに設置した。

    2. リエゾン・オフィスでは、企業や自治体からのさまざまな課題を受け付け、学内の研究者・研究グループとの連携により、共同研究や受託研究等を行なっている。その他、寄付講座や委託研修員の受け入れ、さらには、「経営戦略センター」を設置し、「アントレプレナースクール」の開講等、文科系のリエゾン活動も展開している。

    3. リエゾン活動は、大学の教育の場としても意義深い。ある企業活動の戦略に関して共同研究を行なったが、その研究成果を本にまとめ、それを基に講義を行なうとともに、その企業で実地研修を行なうことができた。今後は、こうした活動とともに、大学、企業が人材を出し合い、「リエゾン」を超えた産業界との共同した人材育成の場作りに取り組みたい。


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