経団連くりっぷ No.64 (1997年10月 9日)
海外からの来訪者
9月16日
- 来訪者
- ボダン・シールズ駐日ニカラグア大使
サモラLAFISE(Latin American Financial Services Corp.)社長 他2名
- 経団連側応接者
- 藤原常務理事
- ポイント
- ニカラグア側発言要旨
- ニカラグアでは、チャモロ前政権の後を受け本年1月に誕生したアレマン政権の下、民間主導による経済改革が行なわれている。
- 中米諸国は、地域経済統合促進に向けた動きを活発化している。また治安も良好である。今後日本企業、特に大企業のみならず中小企業とのビジネスの拡大や、日本からの技術支援を希望している。
9月17日
- 来訪者
- メーディッシィ・ハンガリー共和国大蔵大臣
- 経団連側応接者
- 豊田会長、内田事務総長、糠沢専務理事、藤原常務理事
- ポイント
- メーディッシィ大臣発言要旨
- 現在、ハンガリーの経済は安定しており、日本からのさらなる投資を歓迎する。
- 11月下旬のNATO加盟に向けて現在調整中である。
9月19日
- 来訪者
- 林毅夫(リンイフ)北京大学教授
- 経団連側応接者
- 関本中国委員長、春名国際協力プロジェクト推進協議会会長、藤原常務理事 他
- ポイント
- 林教授説明要旨
- 1979年から始まった中国の高度経済成長は、今後30年は続くだろう。ただし、(1)景気循環のサイクルが徐々に短く、かつその振幅の幅が大きくなっている点、(2)国家財政に大きな負担を課している国有企業問題、(3)地域間の所得格差、(4)食糧自給の見通し、(5)環境問題、といった問題が、中国の高度成長を妨げる要因となりうる。
- 上記(1)〜(4)の問題は、市場経済の原則を一層徹底させることで解決できる。また、(5)については、適度な規制と技術的進歩によって解決可能である。
- 日本は資金・技術両面から、中国の経済発展を支援することができる。日中両国が緊密な経済関係を持つことは、双方にとって利益となる。
9月25日
- 来訪者
- ロッセリ・スヴェルドロフスク州知事
- 経団連側応接者
- 河毛日本ロシア経済委員長
- ポイント
- スヴェルドロフスク州は、エリツィン大統領の出身地でもあり、ロシアの進歩的勢力として常に重要な影響を及ぼしてきた。連邦政府との間では、権限分割協定を結んでおり独自性を維持しつつ協調関係を保っている。
- 企業の民営化も進められており、現在、州内の工業生産額の90%を民間セクターが占めている。株式市場、銀行制度なども整備されてきており、他の地域よりもビジネス環境は整っている。また、州の中小企業育成政策も策定した。
- 96年の貿易額は38億ドル(輸出は27億ドル)である。日本は6,400万ドルで国別14位である。外国からの投資に対する保証措置にかかわる法整備を進めており、日本とは鉄鋼、非鉄金属、機械、自動車等の分野で協力したい。
9月26日
- 来訪者
- ノジコフ・イルクーツク州前知事
- 経団連側応接者
- 河毛日本ロシア経済委員長
- ポイント
- イルクーツク州は、最近、財政危機を脱し、賃金未払い問題の解決に努力している。州に対する外国からの投資は、ロシア全体の5〜6%程度にとどまる。
- 96年の貿易額は27億ドルで、その60%が中国、日本、シンガポール、香港等太平洋地域との取り引きによる。イルクーツク州はロシア全体のアルミの40%、パルプの60%を生産しているほか、石油精製、石油化学製品などでも競争力を持つ。さらに中央の有力銀行の進出とあわせ、地場の銀行も育っており、また、有力な金融産業グループも活躍している。
9月30日
- 来訪者
- ペトロフ・ロシア国家投資公社総裁
- 経団連側応接者
- 河毛日本ロシア経済委員長
- ポイント
- ロシア国家投資公社は、経済改革を円滑に推進するため、93年、エリツィン大統領令により政府関連機関として設置された。5億ドルの資本金は全額、政府出資である。傘下には銀行、信託、建設、金融、商社など事業会社が30社あり、昨年は、全体で65億ドルの売り上げがあった。
- 公社は、昨年から内外企業の投資に対する保証サービスができるようになった。その第一号として、今年初めに公社傘下の銀行にチェコ輸銀が供与したクレジット・ラインについて、公社がチェコ輸銀に対して債務保証をすることで合意した。
9月30日
- 来訪者
- ベンジャミン・スタインブルック リオドセ社(ブラジル)経営審議会議長、ヘイス駐日ブラジル大使
- 経団連側応接者
- 豊田会長、糠沢専務理事
- ポイント
- 豊田会長より、日本とブラジルの経済関係の強化に向けリオドセ社と日本企業との今後の関係強化の必要性を強調したのに対し、ベンジャミン・スタインブルック議長より、次の発言があった。
- リオドセ社が5月に民営化され、初代の経営審議会の議長となったが、最初の海外出張先として日本を選んだことは我々が日本との関係を重視している証左である。
- ブラジルは、リオドセ社に限らず様々な分野で民営化を進めており、すでに欧米企業は積極的に進出しているが、日本企業の取り組みは控えめである。
- カルドーゾ大統領の下でブラジルは安定化し、歴史的なチャンスともいえる状況となっているので、日本企業の積極的な進出を期待する。
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