日タイ貿易経済委員会では、通貨不安や金融不安に端を発したタイ経済の混迷を背景に、8月中旬から9月初旬にかけて「日タイ経済関係に関するアンケート調査」を実施した(調査対象:日タイ貿易経済委員会メンバー93社(含団体)、回答数:41社・団体、回収率:44.1%)。その結果、回答企業の約半数が、タイ経済の潜在成長性は依然高いと見ていることが明らかになった(表1参照)。ただし、これは、タイが産業構造の高度化に成功することを前提としており、新たな技術の導入や人材の育成、サポーティング・インダストリー(裾野産業)の育成が不可欠との指摘が多くなされた(表2参照)。日タイ貿易経済委員会ではこの調査結果を早速タイ政府に伝えたが、在タイ日系企業の間にはタイ経済の現状を深刻に受け止めている向きも多いことから、委員会としては引き続きタイの動向を注視していく。
タイ経済の潜在成長性はまだ高い。現在は調整局面にあるが、産業構造の高度化等に成功すれば、まだまだ高度成長は続くと考える。 | 22社(53.7%) |
---|---|
今後はこれまでのような高度成長は望めない。成長率の伸びは鈍化して、安定成長の時代に入るだろう。 | 12社(29.3%) |
産業構造の高度化等、タイが抱えるさまざまな問題や矛盾が解決されない限り、早晩タイは低成長に転じるだろう。 | 7社(17.1%) |
最低賃金法の廃止と労働市場の調整 | 5社 |
---|---|
いわゆるサンセット・インダストリーの切捨て | 1社 |
サポーティング・インダストリーの育成 | 26社 |
新たな技術の導入と人材の育成 | 33社 |
規制緩和による経済の一層の自由化 | 15社 |
その他 | 6社 |