経団連くりっぷ No.66 (1997年11月13日)

定期借家権の創設を柱とした提言をとりまとめ

ライフステージに応じた住み替え環境の整備を


今般、自民党に定期借家権等に関する特別調査会が設置され、来年の通常国会での議員立法による借地借家法改正に向けて、検討が開始された。そこで、経団連では10月21日に、従来の主張である(1)定期借家権の創設、(2)正当事由制度の見直し、(3)定期借地権の最短期間の短縮の3点を柱とする「借地借家法改正に関する提言」を改めてとりまとめた(提言の詳細については6頁参照)。

戦中に導入された借地借家法の正当事由制度は、借主保護の色合いの強い規制であり、戦後50年以上経過し生活水準が格段に向上した現在でもほぼ変わっていない。これが、借家の貸し渋りの要因となり、特に家族向けの良質な借家の供給を妨げている。

そこで、経団連では、1995年10月より規制緩和の一環として正当事由制度に拘束されない定期借家権の創設を柱とする借地借家法改正を求めてきた。これが実現すれば、特に家族向けの良質な借家の供給が促進され、大きな経済効果をもたらすと期待している。


経団連「借地借家法改正に関する提言」による改正内容

項目 現行の借地借家法 経団連の提言
定期借家権 なし 創設。なお、存続期間、建物の用途、面積、地域などによる適用範囲の限定はしない。
正当事由制度 賃貸人と賃借人の建物の使用を必要とする事情などを裁判所が比較考量して、賃貸人の解約または契約更新の拒絶の可否を判断する。
  1. 過去の判例に基づき、正当事由を具体的に列挙し、明確に規定する。
  2. 都市計画事業による借家関係の継続困難の場合を追加する。
  3. 非居住用建物の賃貸借については正当事由を撤廃する。
期限付建物賃貸借 一定要件(1.転勤等で一定期間不在の場合、2.法令又は契約により一定期間後に建物を取り壊す場合)の下、正当事由制度の適用を除外 現行の要件の拡大
定期借地権 存続期間50年以上 存続期間30年以上


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