経団連くりっぷ No.66 (1997年11月13日)

第590回理事会/10月21日

東部ドイツの投資環境について聞く


経団連では、10月2日〜10日にかけて中欧7カ国ならびにドイツのザクセン州にミッション(団長:豊田会長)を派遣した。その際、各地で日本企業による投資を強く要請された。そのうち、東部ドイツ(旧東独地域)への投資誘致にあたっているドイツ新連邦州産業投資評議会(IIC)のフォン=ローア会長が先般来日したのを機会に、同会長を理事会に招き、説明を聞いた。

  1. 91年以来、米国企業は約100億ドルを投資している。これにフランス、英国が続いている。東部ドイツ諸州を産業立地として評価し、実際に投資している日本企業もあるが、欧州諸国以外で米国に次ぐ貿易相手国としては、控えめなものである。

  2. 安定と変化の2つの点から東部ドイツに注目してほしい。
    コール首相は来年の選挙にも出馬するが、彼こそが安定の象徴である。コール首相を過小評価してはいけないというのが欧州の共通認識である。同様に、特に新しいグローバルな課題に適応するにあたって、ドイツを過小評価してはならない。
    ドイツは必要な改革を実行する意思に欠けているとの見方があるが、すでに多くのことが実現されている。最近では、所得税減税に関して進捗があった。
    変化の原動力になっているのは西部ドイツではなく、東部ドイツである。再統一以来、東部ドイツは大きな変化を遂げた。すなわち、2〜3年で1万4,000社もの国営企業が民営化され、50万以上の民間企業が設立された。また、労働人口の25%が職業再訓練を受けた。さらに、インフラが近代化され、環境問題も解決した。このような努力の成果を日本企業にも享受してほしい。

  3. (1) 西側工業諸国の安定的な政治・金融の枠組みに完全に統合されており、生産性も高いこと、
    (2) 西部ドイツに比べて労働コストが35%も低いこと、
    (3) 生産性等の面で西部ドイツを上回りたいという従業員の士気が高いこと、
    などを英米企業は評価し、東部ドイツに投資した。また、東部ドイツ企業の2/3が集団交渉契約によらず、市場の実態に合わせて給与・労働条件を決定している。さらに、州政府も建築許可、投資インセンティブ付与等の行政手続きの迅速化を進めている。

  4. IICは、事業機会に関する情報提供、コストの算定、規制や優遇措置に関する助言等を行なう機関である。ぜひIICを活用して東部ドイツに投資していただきたい。

IIC(The New German Lander Industrial Investment Council Gmblt)の連絡先
【住所】Charlottenstrasse 57 D-10104 Berlin
【TEL】+49-30/20 94-56 60
【FAX】+49-30/20 94-56 66
【ホームページ】http://www.iic.de

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