経団連くりっぷ No.66 (1997年11月13日)

アーウィン 南アフリカ共和国通産大臣との懇談会(座長 熊谷副会長)/10月15日

新生南アの成功の鍵は日本からの投資


94年にマンデラ政権が誕生して以来、新生南アでは40%にのぼる失業対策のために外資導入を促進してきている。96年5月に就任したアーウィン通産大臣は、投資関連法の整備を進める等の投資環境改善に尽力している。このたびの初来日を機に、同大臣を迎え南アの経済情勢および対南ア投資の状況等につき説明を聞いた。

  1. アーウィン 通産大臣発言要旨
  2. アーウィン通産大臣 94年以来、新生南アは、政治的にも、経済的にも、社会的にも新たな一歩を踏み出している。
    政治的には、ようやく人種差別主義と決別することができた。政党も全て新しいリーダーに率いられており、国内融和こそが新生南アの歩む道であることは共通認識となっている。マンデラ大統領の引退後も、民主主義を守っていくことの必要性が、深く認識されている。
    経済的には、南ア経済はいまだに孵卵器の中にいる状態であるが、南アを含む南部アフリカ経済共同体(SADC)諸国や、その北隣のコンゴには天然資源が豊富にあり、将来性は計り知れない。これら諸国の間では、すでに水力、エネルギー、輸送、犯罪防止など幾つかの分野における地域協力を進めており、7年後には自由貿易地域の創出を目指している。これら14カ国の人口は1億8,000万人であるが、今のところ外資の製造業分野への進出は少ない。今日の世界で、これほど天然資源とエネルギーを安価に自給でき、競争相手のいない地域は他にないといって過言ではない。南部アフリカ市場へのアクセスにおいて、南アの役割は大きい。南アとしては今後、自動車、電機、造船等の産業への投資を促進すべく、部品産業を育成していきたいと考えている。たとえばアルミ精錬などのように、日本では国際競争力を失った産業を南部アフリカに移転してはどうか。
    社会的には、高失業率、脆弱な中小企業、人材不足など、確かに大きな問題を抱えている。しかし国民は自信にあふれ、いかなる問題でも克服してみせようという気概に満ちており、遠からず問題は解決されるものと確信する。

  3. 質疑応答
  4. 経団連側:
    自由貿易が時代の流れになっている中で、特定の国内産業保護のために関税を引き上げた理由は何か。

    アーウィン通産大臣:
    雇用拡大のためのやむをえない措置だと理解してほしい。関税引き上げを回避するためにも、南アにぜひ投資してほしい。
    われわれは今後とも積極的に投資誘致を行ない、失業率を何とか12%〜15%に引き下げていきたいと考えている。南ア経済は着実に成長しており、決して不可能な目標だとは思っていない。


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