第10回日本ベネズエラ経済委員会合同会議結団式(団長 亀高素吉氏)/10月21日
94年に発足したカルデラ政権は、深刻な金融危機に対処するため、物価統制や為替管理等の緊急経済措置を実施した。その結果、生産活動は低迷し経済は極端に悪化した。そこで96年4月に、ガソリン価格の10倍引き上げ、卸売税・奢侈税の引き上げ、為替の自由化、物価統制の廃止、金利の自由化、国営企業の民営化、銀行システムの強化等を主な内容とする新経済政策「アジェンダ・ベネズエラ」を発表した。この結果、97年7月までの過去1年間のインフレ率は40.5%と96年の103%から大幅に改善、また97年上半期のGDP成長率は前年同期比で+4.0%を記録(特に非石油部門は96年−3.6%から+2%に改善)するなど、経済情勢は改善している。外貨準備高は180億ドルで増加傾向が続いており、為替レートも安定している。こうした理由からベネズエラ経済に対する内外の信用が回復している。他方、今後の課題として、民営化のペースが遅い、公共サービス料金の値上げ目標が達成されていない等がIMFより指摘されている。
ベネズエラは中南米地域の経済統合に積極的に取り組んでいる。現在アンデスグループおよびG3のメンバーであるが、ブラジルとの関係緊密化を重視、メルコスールとの自由貿易協定締結交渉に臨んでいる。石油輸送ルートであるカリブ海諸国との関係強化やアジア重視の姿勢も強めている。今後ベネズエラは、日本を始めアジア諸国へのエネルギー輸出に力を入れ、また日本からの投資、技術移転に強い関心を持つだろう。