経団連くりっぷ No.66 (1997年11月13日)

BIAC技術委員会報告会(座長 行天豊雄氏)/10月27日

BIAC技術委員会の活動


OECD加盟国を代表する経済団体の集まりであるBIACでは、さまざまな分野におけるOECDの活動に対し、産業界の立場から意見を述べている。BIACの14の委員会のなかで、技術委員会は、中村日立製作所中央研究所長が日本人として唯ひとり委員長を務めている。OECD諮問委員会では、同委員長を招き、知的財産権、企業研究開発の国際化等の問題に関する最近の同委員会の活動状況について説明を聞いた。

  1. 知的財産権
  2. OECD科学技術政策委員会(CSTP)の要請を受けて、BIAC技術委員会の各国委員に、各国産業界が抱える知的財産権(IPR)制度をめぐる具体的問題点、特に各国特許システムの相異に関わる問題の実例についてアンケート調査を依頼した。国内では、経団連産業技術委員会知的財産権部会委員を対象にアンケート調査を実施したところ、
    1. 各国の特許制度・手続の調和、
    2. 発展途上国における特許保護、
    3. IPRの市場性化など、
    を求める意見が寄せられた。
    BIAC技術委員会は、各国委員からの回答に基づいて、
    1. すべての国での先出願制度の採用、
    2. 特許の早期公開制度の採用、
    3. 米Hilmer条項の廃止、
    等の要望を含む報告書を作成し、10月7〜8日にパリで開催されたCSTPとの会議で報告した。

  3. 企業研究開発(R&D)の国際化
  4. 知識集約型産業が主流になり、R&Dの重要性が高まるなかで、CSTPがR&Dの国際化問題をBIACとの共同作業テーマに決定した。知的財産権と同様に、各国委員にアンケート調査を依頼し、国内でもアンケート調査を実施した。その結果に基づいてR&D活動の活性化に必要とされるビジネス環境(インセンティブ、インフラ、産学協同等)を整理した上で、産業の発展のためにはR&Dに関する多国間の双方向の協力が今後ますます重要になると結論づけた。
    今後、12月までにBIACとしてのコメントをまとめるとともに、企業R&Dの国際化を促進するための各国政府に対する制度面、インフラ面での要望事項を明確にし、OECDに提出する予定である。

  5. OECDソウル会議
  6. 10月13〜14日、韓国のOECD加盟を記念して、企業R&Dの国際化、IPR保護、国家プロジェクトへの外国機関の参画、中小企業対策をテーマとするOECD会議がソウルで開催された。BIACを代表して中村委員長は、
    1. 世界規模の通信インフラの拡充、
    2. 社会性の強い科学技術への超国家的資金運用、
    3. 高次のIPR保護、
    4. 研究者の活動地域の自由化等、
    の施策の実施を要望した。

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