経団連くりっぷ No.67 (1997年11月27日)

日本の雇用を支える地価税納税企業

─地価税撤廃は会社員の声


11月18日に発表された政府の景気対策の柱として土地の流動化・有効利用に向けた規制緩和策が盛り込まれたが、規制緩和とともに企業にとって切実なニーズのある土地税制の改革に向けた議論がいよいよ本格化してきた。今年度の改正の最大の焦点のひとつである「地価税の撤廃」論議の中には、地価税が大企業税制であって国民生活とは遠い存在であるという論調もある。

確かに下表のように、地価税の納付額の7割強は全法人のうちわずか0.1%の企業によるものである。しかしこれら企業の売上高は全業種企業の3割を占め、従業者数では13.3%を占めている。業種的には、土地から逃れられない産業に偏って負担が求められ、製造業や不動産業に加え、鉄道業や百貨店などの国民生活に影響のある業種の負担が大きい。地価税の撤廃は日本の雇用を支え、国民生活を支える企業とそこに働く会社員の声である。


地価税高額納税法人(上位2,233社)の全法人に対する割合

業 種企業数地価税額
(億円)
売上高
(億円)
従業員数
(千人)
全業種 全法人2,467,8461,42414,483,83036,757
地価税納税法人2,2331,0314,389,5884,882
構成比率 (%)0.0972.430.313.3
製造業 全法人455,3575214,084,52211,279
地価税納税法人8023961,799,7592,663
構成比率 (%)0.1876.044.123.6
不動産業 全法人260,985312354,599549
地価税納税法人54621889,29357
構成比率 (%)0.2169.825.210.5
運輸通信
・公益事業
全法人81,426168933,5453,646
地価税納税法人118144435,782949
構成比率 (%)0.1485.546.726.0
卸売業 全法人302,8291114,127,4313,809
地価税納税法人218591,211,704270
構成比率 (%)0.0752.929.47.1
小売業 全法人499,0431201,678,7246,145
地価税納税法人22888328,414408
構成比率 (%)0.0573.019.66.6
サービス業 全法人369,392741,458,7746,045
地価税納税法人14652181,070146
構成比率 (%)0.0469.912.42.4
建設業 全法人449,902811,698,7674,365
地価税納税法人12558331,474344
構成比率 (%)0.0371.619.57.9
料理飲食
・旅館業
全法人25,1343278,817656
地価税納税法人44179,77841
構成比率 (%)0.1853.512.46.2
その他 全法人23,778568,651263
地価税納税法人60.92,3134
構成比率 (%)0.0317.63.41.5

(注1)
売上高・従業員数は、大蔵省「法人企業統計年報(平成8年度)」および帝国データバンク「企業情報」。
ただし、法人企業統計に含まれていない金融保険業は除外してある。
(注2)
地価税額は、国税庁「平成8年分地価税申告事績」。

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