経団連くりっぷ No.67 (1997年11月27日)

日本イラン経済委員会(委員長 相川賢太郎氏)/11月25日

アミンザデ・イラン外務副大臣と懇談


イランでは、本年8月にハタミ政権が誕生して以来、対外関係特に対米関係の改善に向けた動きを展開するのではないかとの期待が強い。このたびアミンザデ・イラン外務省アジア・オセアニア担当副大臣が来日したのを機に、同副大臣より新政権の外交政策等について説明を聞いた。

  1. 政治情勢と対外関係
  2. アミンザデ 外務副大臣 ハタミ大統領は国民の圧倒的な支持を得て、大統領に選ばれた。国会もようやく新内閣を承認するに至り、今まさに新しい経済・外交政策を実施に移そうとしている。ハタミ大統領は、当面の最優先課題のなかで、特にこの地域の平和の確保を第1の目標に置いている。その一環として、イスラム諸国50カ国の首脳を一堂に会したイスラム国際会議を年内にテヘランで開催すべく、その準備を進めているところである。
    ペルシャ湾岸諸国との関係強化のみならず、カスピ海諸国とも友好関係を発展させつつある。独、仏など欧州との関係も改善しつつある。ただし米国との関係は、米国が誤解に基づいてイラン政策を展開している限り、その進展はない。イランは平和を乱す行為を一切行なっておらず、米国はイランに対する誤解を早々に解くべきである。

  3. 経済状況について
  4. 経済政策は、基本的に第2次5カ年計画に沿って実施するつもりである。かつて対外債務の支払い遅延問題が生じた。大型プロジェクト推進のための借入れやイラクとの8年におよぶ戦争の費用が嵩み、その返済のピークが1994年に迎えた結果である。その後、緊縮財政および短期債務の長期債務への切替えなどによって、この問題を解決した。今日では、石油収入が計画当初の予想通り順調であることから、外貨準備高は100億ドルに達している。
    アジア地域との貿易も拡大している。特に中央アジア諸国とは鉄道輸送網が強化されたこともあり、経済交流が活発となっている。トルクメニスタンなどカスピ海諸国の石油・ガスをイランを通じて輸出する計画も進展している。イランは言わば「手がカスピ海にあって、足がペルシャ湾にある」国と喩えられよう。

  5. 対日関係について
  6. イランにとって日本は第2の輸出相手国であり、重要な貿易パートナーである。かねてより発電、石油化学、精油所などの建設に日本の協力を得ている。日本の協力を得て、さらなる経済振興を期したい。イランは今後、ペルシア湾とインド洋の架け橋となり、東西アジアの経済交流拡大に努めるつもりであるが、日本もその推進役をぜひとも担ってほしい。


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