OECD諮問委員会(委員長 行天豊雄氏)/11月27日
権力中枢と経済との間に癒着関係が存在し、経済原則、市場原理に反する形で経済運営が行なわれた。
国民全体の発展への強い意欲に支えられた大規模なインフラ投資が過剰投資につながり、外資への依存を強めた。
欧米からの圧力を受け、オフショア市場の設置による金融市場の自由化を進めた結果、大量の外資が国内に流入し、結果的に巨額の外貨建て債務となった。
タイ通貨バーツは実質的に米ドルにリンクしているため、94年の中国人民元の切り下げ、95年の円ドル相場の反転以降、輸出競争力が悪化した。
こうした問題の蓄積が、政情不安の影響もあり、通貨危機として表面化した。為替相場はいずれ安定点を見出すと思われるが、通貨危機が招いた経済への不信感や金融システムの脆弱性などは解決に時間を要する。
総会屋への利益供与や、「飛ばし」などの不正取引の問題は、日本企業のコーポレート・ガバナンスに関わる問題である。これを抜本的に見直さなければ、スキャンダルは根絶されない。経団連の役割が求められる分野である。
現在のアジア、日本が抱える問題の解決は容易ではないが、各国で真剣な対応が始まっていることは評価できる。今回の危機を教訓として、今後、円ドル相場の安定、日本の景気の安定的拡大、日本とアジア諸国の協力関係の強化が望まれる。