経団連くりっぷ No.69 (1997年12月25日)

日本ロシア経済委員会(委員長 河毛二郎氏)/11月19日、20日

第3回日ロ経済合同会議を開催


日ロ経済委員会では、先月19日と20日の両日にわたって第3回日ロ経済合同会議をモスクワで開催した。以下はその際、ロシア側との間で合意に達したメモランダムである。なお、今回の合同会議は、これに先立つ11月1日、2日に開催された日ロ非公式首脳会談で発表された橋本−エリツィン・プランの一項目となっている。


日本ロシア・ロシア日本経済委員会第3回合同会議
メモランダム

1997年11月19日〜20日
於:モスクワ

  1. 1997年11月19日、20日の両日、モスクワにおいて日本ロシア経済委員会とロシア日本経済委員会の第3回合同会議が開催された。会議には、日本側から日本ロシア経済委員会委員長の河毛二郎氏を団長とし約100名が参加した。ロシア側からはロシア日本経済委員会委員長・ロシア産業家企業家連盟会長のA.ヴォリスキー氏を団長として同じく約270名が参加した。
    日本政府からは、都甲岳洋駐ロシア大使のほか外務省、大蔵省および通産省の幹部が出席した。ロシア政府からは、B.ネムツォフ第一副首相、E.ヤーシン大臣のほか外務省、経済省、対外経済関係省、燃料エネルギー省および中央銀行の幹部が出席、また、ロッセリ・スヴェルドロフスク州知事ほか地方行政府代表が参加した。
    会議には、橋本龍太郎日本国首相ならびにB.エリツィンロシア連邦大統領から祝辞が寄せられた。

  2. 河毛、ヴォリスキー両委員長は、挨拶の中でこれに先立つ11月1日〜2日、クラスノヤルスクで開かれた日ロ両国首脳会談での成果を高く評価し、今後、橋本−エリツィン・プランをベースに両国間の経済交流の促進に向けて双方関係者が一段と努力する必要があることを、ともに指摘した。また、河毛委員長は、日ロ経済交流をめぐる環境変化の中で民間経済交流の枠組みにも工夫が求められている旨指摘した。
    ネムツォフ第一副首相は会議において講演し、クラスノヤルスクにおける日ロ首脳会談をうけて、両国間経済協力の課題とそれを推進する施策について述べた。同第一副首相はその中で日本からの大型投資の重要性を指摘するとともに、投資家に対するロシア政府の支援が重要であることを強調した。

  3. 引き続き全体会議において、2つのテーマが審議された。
    第一テーマ「外国からの投資促進の具体的取り組み」では、ヤーシン大臣から税制改革、投資関連法制度の整備、企業会計の改善、地方の外資導入政策などについて説明がなされ、ロシア政府がこの分野で実施すべき具体的な施策が検討された。日本側は、外国からの投資を促進するためには税制の透明化・簡素化、投資関連法制度の整備、国際会計基準の導入などが速やかに実施されることが緊要であると指摘した。
    また、ロッセリ・スヴェルドロフスク州知事とカラーシン次官が報告を行った。ロッセリ知事は、ロシア日本経済委員会および日本ロシア経済委員会の中にそれぞれウラル部会を設置するよう提案した。ロシア側は、これを支持し同知事に部会の組成を委任した。日本側は、同提案を検討する旨約した。
    第二テーマ「日本とロシア極東との経済交流の拡大」では、極東ザバイカル長期発展プログラムの実施状況についてロシア側から説明がなされた。日本側は同プログラム実施政府委員会の会合が開催されていることを歓迎しつつ、プログラム実施のためにはロシア政府からの資金供与が不可欠であると指摘した。
    双方は、両委員会の枠内で本年3月、ユジュノサハリンスクで開催された第一回日ロ極東経済会議の成果と会議の決定に基づき設置されたワーキング・グループの活動を高く評価した。ワーキング・グループに対しては、可及的速やかに具体的行動計画を策定することを期待する。また、橋本−エリツィン・プランに即して、貿易経済に関する政府間委員会極東分科会との緊密な連携を進めていくことが重要であることを表明した。

  4. 会議は、第一分科会「ロシアの金融システム」、第二分科会「エレクトロニクスと情報通信」、第三分科会「金融産業グループとの協力」および第四分科会「エネルギー資源」の4つの分科会を開催した。
    第一分科会では、ロシア側よりロシアの商業銀行の活動とその監督の状況について説明がなされた。双方は一層の関係強化についての幅広い意見交換を行った。ロシア側は、日ロ経済合同会議のもとに分科会を創設し、国家保証に代わる新しいスキームの共同研究などを行うよう提案した。
    第二分科会では、ロシア側はエレクトロニクスと情報通信分野のロシアの振興施策を中心に説明し、日本からの投資を促した。また、ロシア側は総額120億ドル相当の12のプロジェクトについての情報を提供した。
    第三分科会では、ロシア側から金融産業グループの活動、特に外国企業との協力の実情を中心に説明がなされた。双方は、金融産業グループと日本企業との間のビジネス上の協力に大きな可能性があることに注目し、今後、相互間の人的交流を促進していくことが重要である旨表明した。
    第四分科会では、日本側からサハリン島陸棚での石油ガス開発を円滑に実現するためPSAをめぐる諸問題の解決を要望した。ロシア側は、シベリアでの水力発電およびサハリンでの天然ガス発電とその電力の対日供給への協力を希望した。

  5. 日ロ首脳会談に間を置かず開催されたこの会議は、率直かつ建設的な雰囲気の下で行われた。次回合同会議は、1998年の双方が合意する時期に東京で開催する。

以 上


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