経団連くりっぷ No.69 (1997年12月25日)

日本・香港経済委員会(委員長 秋山富一氏)/12月2日

第20回日本・香港経済合同委員会を開催


日本・香港経済委員会は、香港側のカウンターパートである香港・日本経済委員会(レイモンド・チン委員長)との間で、毎年交互に合同委員会を開催しており、12月2日、20回目の会合を香港で開催した。香港側のはからいにより、通常1日の会議を今回は半日に短縮し、午後はラファエル・ホイ金融局長官より、香港の金融・資本市場の現状と今後の見通しなどについて説明を受け、その後、来年4月に開港予定のチェク・ラプ・コック香港新国際空港建設現場を視察した。翌3、4日には、中国広東省の広州を視察した。


  1. 第20回日本・香港経済合同委員会共同声明 [英文正文・和文仮訳]
  2. 1997年12月2日

    第20回日本・香港経済合同委員会は1997年12月2日、香港で開催された。同合同委員会は、レイモンド・チン香港・日本経済委員長と秋山富一日本・香港経済委員長が共同議長を務めた。
    董建華香港特別区行政長官と小渕恵三外務大臣より祝辞が寄せられた。
    会議参加者は、ラファエル・ホイ金融局長官より、香港経済の展望と最近の金融・資本市場の動向についての説明を聞いた。ホイ長官は、香港通貨の連動制の仕組み、ならびに安定性、透明性、予測可能性など連動制維持の利点について説明した。ホイ長官は、今後も香港政庁は連動制を維持していく旨を繰り返し述べた。
    全体会議では、日本の経済改革プログラムによって生まれる新しいビジネス機会、香港経済の競争力、第15回共産党大会で発表された中国の改革・開放路線でもたらされる機会の活用に向けた日本企業と香港企業の協力など、相互に関心のある広範な問題に関して議論した。
    双方は、最近の経済情勢のもとで、日本と香港の間の貿易をさらに拡大する方策について、詳細に意見を交換した。参加者は、今後特に、サービスと技術の分野において成長が見込まれることを指摘し、日本と香港の一層の協力によるこの分野での発展の可能性について検討した。
    日本側参加者は、中国への香港返還がスムーズに完了し、「一国二制度」が堅持されていることを歓迎した。また、今後も香港経済が堅調な発展を続けるということに自信を示した。双方の参加者は、香港と中国本土の間の深く強固な経済関係が、香港の低税率、自由貿易、ビジネスに関連した公平で透明な規則などの政策の継続もあって、香港と中国本土に投資またはビジネス活動をしたい日系企業に、新たな機会をもたらしてきたことを指摘した。
    加えて、強固な金融サービス、輸送と技術のハブなど、ビジネス・パートナーとしての香港が有する利点のファンダメンタルズが、最近の当地域の経済の不安定化によって影響を受けていないということが指摘された。香港の企業は、ユニークで高付加価値のサービス・パッケージを提供し続けるということが、その理由である。それゆえ、さらに多くの日系企業が、アジア地域統括本部、中国へのゲートウェイ、域内流通の中継地として、香港に魅力を感じ、進出すると思われる。
    会議参加者は、中国の経済・貿易関係の見通し、ならびに中国と戦略的なパートナーシップを結ぶことによってもたらされる機会について議論した。中国の長期的経済発展を促進する上で、香港と日本は重要な役割を担うことが出来、それが3カ国・地域の利益になるという点で認識が一致した。中国のWTO加盟が実現することは、この機会の一層かつ重要な拡大をもたらすだろうという点で意見を同じくした。
    日本側参加者から、最近の規制緩和、ならびに金融システムの改革、流通ネットワーク、消費市場に関する政策など、日本の国内経済における最近の進展についての説明があった。香港企業の製造業品やサービスの対日輸出の継続的な増加を図るうえでこれらの進展をどう生かせるかについて討議した。また、日本と香港、両地域の消費者のコンフィデンスを強化することの重要性が強調され、そのための方法についても議論された。
    第21回日本・香港経済合同委員会は、1998年に日本で開催することで合意した。
    第20回日本・香港経済合同委員会終了後、日本と香港、双方のメンバーは、董建華香港特別区行政長官主催昼食会に招かれた。
    その後、日本側メンバーは、チェク・ラプ・コック香港新国際空港を視察した。さらに、日本側メンバーは、香港貿易発展局が企画、アレンジした2日間のプログラムに沿って、最近の中国本土の経済の発展状況を検証し、ビジネス・貿易関係の一層の拡大の機会を探る目的で、広州を訪れた。

  3. 中国広東省広州の視察
  4. 合同委員会終了後、香港貿易発展局のアレンジにより、日本側のメンバーは、12月3日〜4日、中国広東省の広州を訪問した。
    広州では、陳耀桓(Chen Yaohuan)中国国際貿易促進委員会広東省分会副会長、湯炳權(Tang Bingquan)広東省副知事、徐徳志(Xu De Zhi)広東省対外経済貿易委員会主任と面会し、広東省の投資環境などについて詳細な説明を受けた。また、ジャスコを視察するとともに、広州経済技術開発区と広州保税区を訪問し、謝寶懷(Xie Baohuai)管理委員会副主任と劉文哲(Liu Wen Zhe)管理委員会主任から、それぞれの概要の説明を受けた。広州経済技術開発区では、三菱電機のエアーコンプレッサー工場も見学した。
    広東省は、その地理的利点を最大限に活かし、隣接する香港と一体化した華南経済圏を形成しており、急速な発展を遂げている。広州には、近代的な高層ビルが立ち、道路などのインフラも整備されつつあり、活気のある街の様子からも、その目覚しい発展ぶりを確認することができた。


右から、チン委員長、秋山委員長、フォン香港貿易発展局会長


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