経団連くりっぷ No.70 (1998年1月8日)

フィゲーレス コスタリカ大統領との懇談会(座長 豊田会長)/12月10日

情報化社会へ向けたコスタリカの取組み


地球温暖化防止京都会議への出席のため来日したフィゲーレス コスタリカ大統領一行を迎え懇談した。コスタリカは軍隊を持たない平和な民主主義国として、また自然保護について積極的な取組みを行なっている国として知られているが、フィゲーレス大統領は経済面でも大きな変革が進展しつつあることを強調し、日本からの投資を要請した。

  1. フィゲーレス大統領説明要旨
  2. フィゲーレス大統領 50年前に軍隊を廃止したことにより、保健、教育、インフラ整備の分野に予算を配分することができた。これにより平和で民主的、かつ安定した国家の構築という、他の中米諸国が実現できなかったことをコスタリカは成し遂げた。社会資本、人材開発、環境面では先進国並みの成果をあげており、例えば平均寿命は76歳、識字率は95%、国立公園は国土の30%を占めている。
    国際競争力強化および情報化社会の実現に向け、次の3分野において改革を進めている。第1は経済分野の改革で、この結果コスタリカの1人当たりの輸出額は中南米で3位、GDPに対する海外からの直接投資の比率(約6%)はトップとなっている。第2は保健や教育等の社会投資分野で、教育改革の一例としては、公立小学校における1年生からの英語教育の実施や、すべての公立高校へのコンピュータの設置等があげられる。第3は環境の分野で、国立公園の強化および生物多様性に力を入れている。
    コスタリカが強みをもっている分野で企業のクラスターが形成されている。例えば、
    1. 農業国としての歴史を活かしつつ、付加価値を高める農産加工分野、
    2. 6つの大きなプロジェクトが計画ないし進行中の観光分野(エコツーリズム)、
    3. モトローラ、インテル等の進出に代表されるハイテク分野、
    である。こうした分野への日本からの投資の促進を強く希望する。

  3. 質疑応答
  4. 経団連側:
    モトローラ、インテル等は、通信等への事業と製品生産とのどちらの分野へ投資しているのか。
    フィゲーレス大統領:
    製品生産の割合が大きい。モトローラ製品の液晶の半分はコスタリカ産であり、インテルは4億ドルを投じMMXペンティアムを生産している。

    経団連側:
    コスタリカ産品の輸出には、製品の品質の均質化および生産量の拡大が必要である。この点に関し、政府は民間企業に対してどのような指導をしているのか。
    フィゲーレス大統領:
    民間企業の高品質化および生産性を国際標準レベルまで引き上げることを目的とした2つのプログラムを実施しており、これらをサポートする機関を設置している。


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