経団連くりっぷ No.70 (1998年1月8日)

ヨーロッパ地域委員会(共同委員長 若井恒雄氏)/11月25日

仏ピエレ経済・財政・産業省 産業担当大臣と懇談会を開催
─ジョスパン新政権は「科学の国」の確立をめざす


ヨーロッパ地域委員会では、神戸雇用会議に出席するために来日した仏ジョスパン新内閣(97年6月組閣)のピエレ産業担当大臣を招き、若井共同委員長他関係企業代表者と懇談会を開催した。ピエレ大臣からは、新政権の経済政策およびフランス経済の現状について説明を受けた。

  1. 新政権の経済政策について
  2. ピエレ大臣 ジョスパン政権の経済政策の特徴は以下の5点である。

    1. ジョスパン政権は、前政権と同様に通貨統合へ向けて積極的な政策をとっている。フランスは、マーストリヒト基準を十分に満たし、必ず通貨統合第一陣に加わることになる。

    2. 民間企業にとって好ましい経済環境作りに努めている。まず、政府財政赤字を削減し、暫時金利を下げる努力をしている。短期を含め長期金利の改善を行ない、投資促進につながるよう努力している。また、各種のストック・オプションを設ける等の工夫もしている。

    3. 内需拡大政策を推進し、市場拡大を図っている。景気回復政策の一環として特に低賃金所得層を中心に購買力をつけるよう努めている。

    4. 規制緩和の推進により、雇用創出を図っている。

    5. 科学技術政策を推進し、新技術、R&Dの十分なインフラ整備を行なっている。特に情報・通信分野に重点をおいており、同分野での成長率は目覚ましい。

  3. フランス経済の現状と展望
  4. フランスは世界第4位の経済大国であり、科学技術の分野でも世界3、4位にある。今後、フランスは文化および料理の国というイメージから脱皮し、「科学の国」としての国際的地位を確保するよう努力している。自動車、薬品、地上輸送、食糧、宇宙、原子力等の6分野を重点に政策優先順位をつけて推進している。

  5. 海外からの直接投資への期待
  6. 仏政府は、同優先分野への外国からの投資を歓迎している。フランスは英国とならび海外からの投資の盛んな国であり、今後、日本からの投資が増加することを期待している。フランス企業文化は日本文化と結びつくところが多く、フランス政府は、日系進出企業が問題なく操業できる良好な環境を提供できると確信している。


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