経団連くりっぷ No.70 (1998年1月8日)

創造的人材育成協議会(会長 末松謙一氏)/12月17日

企業は「7つのアクション」の着実な実行を
─町村文部大臣との懇談会を開催


中央教育審議会等において、教育内容の厳選、中高一貫教育の選択的導入等が提案・検討されているが、教育改革は、まだその緒についたばかりである。経団連としても、学歴偏重社会の是正と創造的な人材育成のために、教育改革の推進を積極的に支援していく必要がある。そこで、当協議会では、標記懇談会を開催し、町村文部大臣および文部省幹部より、教育改革への取組み状況等について説明を伺うとともに、今後の教育改革のあり方等について意見交換した。

  1. 町村文部大臣発言要旨
    1. 文部省の教育改革への取組み
      1. 今後の変化の激しい時代においては、創造的な人材や、変化に耐えられる、心身ともにたくましい人材が育つような教育が必要である。教育改革については、審議会で議論をし、取りまとめに時間がかかる面もあるが、文部省では、省を挙げて全力で取り組んでいる。

      2. 具体的には、2003年の学校週5日制に向けて、教育内容を厳選する。また、英語教育は、小学校段階からの導入を可能にし、実践的な教育を目指す。コンピューター教育は中学から必修とし、高校では新たに「情報」という科目を設置する。さらに、個性的な学校作りに向けて、学校選択の弾力化、大学入試の改革等に努めたい。

      3. 今後は、
        1. 心を病んだ子供を健全に育成するための「心の教育」、
        2. 中高一貫教育の導入、
        3. 地方教育委員会や学校長を中心とした学校活性化策、
        等を検討する。

    2. 企業に対する要望
      1. 昨年3月の経団連の提言はよくまとまっている。企業も、教育改革の推進と学歴偏重の是正に向けて、採用のオープン化・多様化、柔軟な処遇制度の構築等「7つのアクション」を着実に実行してほしい。

      2. 経団連会員企業で実施している教員の企業研修は、教員に幅広い視野を身につけさせる上でも、今後とも継続・協力してほしい。また、文部省では、開かれた学校作りに向けて、「非常勤講師制度」等、社会人講師等の受け入れによる学校の活性化を図っている。企業にも、専門家等の講師派遣による協力をお願いする。

      3. 採用では、学歴偏重の是正に向けて、学校名不問等のオープンな採用、女子の雇用機会の均等などに心がけてほしい。

  2. 経団連側の主な意見
  3. 経団連側より、グローバル化等、変化の激しい時代に対応し、創造的な人材を育成していくには、教育改革の加速化・早急な取組みが必要である旨を強調した。さらに、
    1. 実践的な英語教育や科学技術立国に相応しい理科教育、コンピューターソフトに対応可能な人材教育等を実施すべきである、
    2. 教育における悪平等主義を打破し、競争原理を活用すべきである、
    等の意見が出された。


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