経団連くりっぷ No.70 (1998年1月8日)

OECD諮問委員会/12月19日

国際電子商取引の障壁除去は民間主導で


経済開発協力機構(OECD)は、国際電子商取引をめぐる問題についてのさまざまな角度からの検討の一環として、11月19日〜21日にフィンランドで官民合同の会議を開催した。同会議に出席したBIAC情報・コンピュータ・通信政策委員会の石田喬也日本代表委員は、OECD諮問委員会での報告会において、本件への取組みは民間事業者主体とし政府介入を最小限にすることを前提とすべきとのBIACの意見が、同会議を通じて大きな流れとなりつつあると述べた。

  1. 各種障壁等の洗い出し
  2. インターネットによる国際電子商取引の障壁については、1995年2月のブラッセルG7閣僚会議、97年7月のボン閣僚会議等において、すでに種々の側面から論じられてきたが、この問題に一気に決着をつけようとOECDが各国政府、産業界、国際組織に呼びかけて、今回の会議を開催することとなった。まずフィンランド会議で各種障壁と対策を洗い出した上で、98年10月にカナダで閣僚レベルの会議を開催して、それらの障壁を解決するフレームワークのガイドラインに関して基本的な合意を得ることを目指している。

  3. ビジネス経験に基づく問題提起
  4. 会議前半の、OECDとBIACによるフォーラムでは、BIAC側から金融・保険、医療・保健、製造業、オンライン配送・小売の業種別に電子商取引の実施事例が報告され、個人認証、支払システムの標準化、プライバシー、知的財産権の保護、顧客の信頼強化など、実際のビジネス経験に基づく具体的な問題提起がなされた。
    また、BIACの見解として、国際電子商取引への取組みについて、
    1. 民間事業者主体で進める、
    2. 国際的な政策協調、整合化を図る、
    3. ネットワークに対する規制は市場指向を第一とする、
    などの10点の政策原則が提案された。

  5. 民間事業者主体
  6. 後半の産業界・政府間フォーラムにおいては、
    1. アクセスを容易にするための情報インフラの整備、
    2. 消費者、業者の電子商取引に対する信頼感の強化、
    3. 課税や紛争解決などに関する法制度面の整備、
    4. 支払決済と物品配送の簡便化、
    の4つの視点から、国際的な電子商取引をめぐる各種障壁について議論がなされた。
    前述のBIAC見解にもあるように、電子商取引の展開は民間事業者が主体となるべきであり、政府の介入はそれを支援する最小限のものにとどめるべきであることが、議論の基調となっていた。

  7. 次回会議に向けての課題
  8. 次回のカナダ会議に向けては、技術面では暗号やデジタル署名、法制度面では税、プライバシー、消費者保護などにつき、産業界と政府との間で詰めておくべきことが明らかにされた。


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