経団連くりっぷ No.70 (1998年1月8日)

中国における事業活動とメコン開発に関するセミナー/12月4日

アジアのインフラ開発に民間の積極的な参加を


経団連では、アジア開発銀行(ADB)の協力を得てこれまでに2度、メコン開発に関するセミナーを開催している。今回は中国での事業活動をテーマに加えて、標記セミナーを開催した。ADBからは、サリバン副総裁ほかの幹部が出席し、中国やメコン河流域地域におけるADBの活動について説明するとともに、これら地域のインフラ開発に対する民間企業の積極的な参加を呼びかけた。以下は、セミナーにおけるサリバンADB副総裁のスピーチ要旨である。

  1. 中国における事業活動
    1. 中国におけるADBの活動は、
      1. 経済効率の向上、
      2. 経済成長の促進による内陸部の貧困の除去、
      3. 環境保全および天然資源配分の改善、
      に主眼を置いている。1994年以降、中国はADBにとって最大の顧客であり、毎年10億ドルを融資している。この資金は有効に活用されており、経済パフォーマンスも極めて良好に推移している。

    2. 今後、ADBの中国に対する融資は、沿海部の発展を目指したものから内陸部の開発を目的とするものへシフトするだろう。また、民間セクターに対しては、
      1. BOT方式によるインフラ開発、
      2. 資本市場整備、
      3. 国有企業および金融セクターの改革、
      に高い優先度をおいて融資を行なっている。

  2. メコン開発について
    1. 1992年にメコン開発(以下、GMS)に関するプログラムを始めて以来、いくつか具体的な進展があった。現在、運輸、通信、エネルギー、環境保護・資源管理、人材開発、貿易投資、観光の7分野において、協力の枠組みができあがっている。関係者による対話の場も組織され、制度化されている。これまでに閣僚会合が7度開催されているほか、分野毎に作業部会等が組織されて、プログラムの実現に向けて検討が行なわれている。また、優先度の高いプロジェクトのいくつかについては、すでに実施段階に入っている。

    2. ADBの使命は、メンバー国の経済成長および開発協力を促進することにある。GMSにおいてわれわれは、触媒的な役割を果たすとともに、プログラムに対し技術的・資金的なサポートを与えている。しかしながら、無論、われわれだけで必要な資金すべてを用立てることはできないため、メンバー国政府ならびに民間からの資金導入が課題である。

    3. GMSにおいては、民間企業による投資が大きな役割を果たすものと考える。特にインフラ関連のプロジェクトにおいては、BOT方式やコスト・シェアリング、合弁等、民間企業の参加しうる範囲は大きい。そこで、われわれとしては、投資環境の整備を関係各国政府に働きかけるとともに、優先度の高いプロジェクトの実施に際して各国政府と民間企業が共に裨益するようなパートナーシップの確立に向けて努力する。


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