経団連くりっぷ No.71 (1998年1月22日)

来賓挨拶

経済構造改革の推進に全力で取り組む

経済企画庁長官 尾身 幸次


尾身経済企画庁長官 わが国の現在の景気は全体に足踏み状態にあるが、民間需要を中心に経済を回復基調に乗せ、自律的な安定成長を持続させるためには、金融機関等の不良債権問題や金融システム安定化、日本的な経済システムの制度疲労、産業の空洞化等の問題解決が必要である。とりわけ、規制緩和をはじめとする経済構造改革の推進は、新規事業・ベンチャー企業の創出を活性化するなど、経済全体の体質強化に不可欠である。

このような観点から政府は97年11月に「21世紀を切りひらく緊急経済対策」をとりまとめ、料金の低廉化やサービスの多様化等に向けた情報通信分野での思い切った規制緩和や、土地の有効利用へ向けた都市中心市街地における容積率の抜本的緩和、市街化調整区域における開発許可の弾力化等、さらに福祉・医療分野における介護サービスへの民間参入の検討、雇用労働分野における労働者派遣事業の対象業務拡大等、広範な措置を講じることとした。

このほか、所得税減税や法人課税の改革等により、わが国経済は順調な回復軌道に復帰し、実質成長率は97年度の0.1%から98年度には1.9%程度になると見通している。

わが国がこれまでに蓄積してきた資源を未来に継承すべく、新たな飛躍に向けて全力で取り組んでいきたい。


くりっぷ No.71 目次日本語のホームページ