経団連くりっぷ No.71 (1998年1月22日)

東亜経済人会議日本委員会(委員長 服部禮次郎氏)/12月8日〜10日

アジア経済の安定に日台パートナーシップは不可欠


東亜経済人会議日本委員会では、わが国と台湾との経済交流拡大のために、毎年、台湾経済界との間で東亜経済人会議を開催している。97年は、12月8日から10日にかけて、台北で第25回東亜経済人会議を開催した。また、会議の後、アジアの経済危機をテーマに東亜経済人会議25周年記念シンポジウムが開催された。


服部委員長

第25回東亜経済人会議 ステートメント

1997年12月10日
於:台 北

  1. 第25回東亜経済人会議は、1997年12月8日から10日にかけて、台北において、日本側から服部禮次郎日本委員会委員長ほか87名、台湾側から辜振甫中華民国委員会会長ほか162名が参加して開催された。

  2. 今回の会議では、全体会議において「日台経済の動向と市場開放等の諸政策」、「香港返還がアジア経済に及ぼす影響」、および「APECならびに第三国市場における日台協力」について活発な意見交換が行なわれた。また、「貿易・投資・技術協力」、「金融・証券」および「運輸・観光」の各分科会においても広範かつ掘り下げた討議が行なわれた。

  3. 日本経済の現状については、個人消費の低迷、金融システムに対する不安増大などもあり、依然、景気回復が進まないという状況を打開するため、行財政、経済構造、金融等の各方面での構造改革を断行し、経済を活性化することがますます急務になっているとの説明が日本側よりあった。台湾経済については、アジアの通貨・金融危機の一時的影響はあったものの、実体経済は引き続き好調を維持しているとの報告があった。日台双方より、日台貿易の拡大均衡を図るために、規制緩和の一層の推進をはじめ、多方面における努力を続ける必要があるとの点で意見が一致した。

  4. 返還後の香港については、引き続き自由経済体制が維持され、アジアの金融・貿易センターとして、アジア経済の成長に寄与することへの期待が双方から出された。また、アジアの通貨・金融危機および株価の下落については、関係国間の金融支援協力はもとより、各国ファンダメンタルズのさらなる健全化、とりわけ製造業育成の取り組みが重要との議論があった。そのためには、日台双方が協力して、アジア・太平洋各国への投資、技術協力、資金供給等に一層取り組んでいくことが必要であるとの認識で一致した。

  5. 日台双方は、分科会での討議を通じて、各産業分野ごとの日台協力をさらに推進することで合意した。

    1. 貿易・投資・技術協力分科会では、日台貿易の拡大均衡を図るためにも、日本の景気の早期回復、規制緩和による日本市場の一層の開放が重要なこと、また日台およびアジア全体のさらなる経済発展のため、日台間の投資・技術協力の促進、第三国市場への共同進出および域内産業育成などが不可欠との議論があった。

    2. 金融・証券分科会では、アジアの通貨・金融危機について、活発な議論が交わされた。この危機の善後処理には地域的な協力が不可欠であり、もし通貨の切り下げを機に貿易競争が激化することになれば、大変不幸な状況を招きかねない。それゆえ今後とも短期的な金融支援並びに中長期的なファンダメンタルズ健全化の両面における日台協力について、より具体的方策の検討を急ぐ必要があるとの見解が示された。また、最近の日本の金融不安については、「日本版金融ビッグバン」をひかえ、一刻も早い信用秩序の回復が重要であり、特に日本の金融機関の収益力・競争力の強化が求められているとの見方で一致した。

    3. 運輸・観光分科会では、日台航空協議において大阪―台北路線への両国新規参入が合意され、着実に規制緩和が進んでいることが紹介された。台湾からの訪日観光客数は増加しているものの、景気低迷、競争激化により、日本からの訪台観光客数は横ばいにとどまっているため、観光インフラの整備・規制緩和のさらなる促進などによって双方がビジネス拡大に努めることで一致した。

  6. 双方は、次回の東亜経済人会議を、来年、双方が適当と認める時期に日本で開催することに合意した。また、第10回幹部会議を次回の東亜経済人会議以前の適当な時期に、台湾で開催することについても合意した。


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